鉄骨補強の新技術「アドジョイント工法」
株式会社コンステック(本社:大阪府大阪市)が、国立大学法人豊橋技術科学大学との共同開発により、鉄骨造建物の耐震改修を目的とした新しい接合工法「アドジョイント工法」を発表しました。これは、既存のH形鋼と角形鋼管を対象にした工法で、エポキシ樹脂接着剤を用いて補強部材を接合します。
アドジョイント工法の概要
アドジョイント工法は、現場での溶接作業を完全に排除する革新的なシステムです。このアプローチにより、火災リスクを低減し、工事に伴う複雑な火気管理や残火確認などの手間を省くことが可能になります。特に、可燃物が多い工場や倉庫など、従来は火災の懸念から耐震改修が困難だった施設でも、安全に施工できるのが大きな特徴です。
さらに、夜間や休日の限られた期間での工事も対応できるため、施設の運用に与える影響を最小限に抑えつつ改修工事が行える点も評価されています。
工法の構造
アドジョイント工法では、力の伝達が以下の三つの部位に分かれています。
- - せん断抵抗部:複数の鋼板と接着剤で構成され、接着部に引きはがし力が生じないため高い接着強度を保持します。
- - 引張抵抗部:H形鋼タイプにおいては、フランジ側面に設置されたボルトと他の部材が統合され、既存フランジに孔を開ける必要がなく、施工が容易です。
- - 圧縮抵抗部:ベースプレートから既存部材へ直接圧力を伝達することで、耐久性を確保します。
施工のメリット
アドジョイント工法の大きな利点は、現場溶接を用いないことで火災リスクが大幅に軽減されることにあります。これにより、厳しい火気管理が不要となり、施工のスピードと柔軟性が向上します。さらには、既存部材にボルト孔を設けないことで、部材の断面欠損を防ぐことができ、強度を保持したままの改修が可能です。
性能確認と研究成果
この工法の有効性は、各種試験を通じて確認されており、今後さらなる実用化が期待されています。関連する研究論文も2023年と2024年に発表されており、国内の学会大会でも取り上げられています。
今後の展望
株式会社コンステックは、このアドジョイント工法をいかに多くの施設に普及させ、安全で効率的な耐震補強を実現するかが今後の課題です。製品化が進むことで、さまざまな建物における耐震性の向上が期待されます。お問い合わせは、株式会社コンステックの技術本部まで。
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