五感を交えるアート展「Synesthesia」
2024年10月4日から2025年3月16日まで、東京のWHAT MUSEUMで奥中章人の展覧会「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」が開催されます。この展覧会は、五感を刺激する体験的なバルーン状の彫刻作品を展示するもので、鑑賞者に深い体験を提供します。
アートと感覚の交差点
奥中氏は「空気」「水」「光」といった形のないものを題材とし、巨大な作品を通じて観衆の感覚に働きかけてきました。本展のテーマでもある「シナスタジア」は、様々な感覚が交じり合う現象を指し、奥中氏は独自の視点でこれを解釈。人々が互いに結びつく可能性に焦点を当てています。
展示作品について
本展示では、特にこの展覧会のために製作された直径12メートルのバルーンインスタレーションが目を引きます。この作品は展示室を埋め尽くし、色彩が変化しながら動き続けることで、観る人々の感覚をさらに刺激します。内部には大きな水枕が置かれ、空気や水、光といった存在の不確かさを再認識させます。
作品を体感することで、まるで他者と身体を超えた「つながり」を感じることができるでしょう。奥中氏は、哲学者ブリュノ・ラトゥールの影響を受け、自然と社会の二元論を検討した思想を自身の作品造詣に取り入れています。彼の作品には教育学や社会学的な視点が織り込まれています。
展覧会の見どころ
この展覧会の大きな魅力は、観るだけでなく体験することにあります。訪れた人は、実際に作品に触れたり、その中に入ったりして、寝転ぶことも可能です。こうした体験を通じて、空気や水、光、そして他者との関係性を再認識する機会が提供されます。
さらに、展示には奥中氏が受けたインスピレーションを描いた書籍やデッサン、インタビュー映像も含まれ、彼の思考過程を垣間見ることができます。観客は作家の理念や制作意図を深く理解できるチャンスを得ることができるのです。
プレワークショップの開催
また、2024年9月15日には、バルーン作品に設置される「水枕」のミニ版を制作するプレワークショップも予定されています。作家と一緒に制作体験をし、その過程を通じて展示の背景について理解を深めることができます。小学生以上が対象で、参加者は先着順で受け付けます。このようなイベントも展覧会の魅力をさらに引き立てています。
茶房としてのWHAT MUSEUM
WHAT MUSEUMは、日本の現代アートを発信する貴重なスポットとして、さまざまなアート作品が展示されています。倉庫を改装したこの施設は、普段目にすることのないアートを間近で体感することができる新しい形の美術館です。アートとの出会いを大切にし、多様な文化を促進することに力を入れています。
この展覧会「Synesthesia」は、ただの観覧にとどまらず、五感をもてあそぶ新たな体験を提供します。感覚の響き合いの中で、自分たちの周りの世界を再発見する機会を得ることでしょう。