90歳の阿刀田高が贈る、ひとり暮らしの知恵と楽しみ

阿刀田高のエッセイ集『90歳、男のひとり暮らし』

新潮社から9月25日に発売された阿刀田高のエッセイ集『90歳、男のひとり暮らし』が、早くも重版されることとなりました。この本は、90歳の著者が自身の経験をもとに、高齢者のひとり暮らしに役立つ知恵や日常生活を楽しむコツを軽妙に描写した内容です。

阿刀田高は、これまでに900篇以上の短編小説を執筆しており、古典を分かりやすく紹介する「知っていますか」シリーズでも知られています。現在、奥様が介護施設に入所されて以来、自宅で単身生活を送っている彼は、日々を機嫌よく過ごすための心構えを本書に記しました。

前向きな老いの受け入れ方

本書では、老いを肯定的に受け入れ、生活の中で感じる様々な出来事をユーモアを交えて綴っています。「何事も〝まあまあ”でいい」「老いてこそユーモア」といった言葉は、年齢を重ねることへの前向きな姿勢を表しています。

朝は鏡で自分の顔を点検し、料理は手抜きをしつつ栄養を確保。通信販売での失敗談や、落語を“読む”楽しみ、眠れぬ夜には源氏物語や百人一首を数える生活が描かれています。こうした日常の些細な出来事からも、多くの知恵が得られることを著者は示しています。

他の作品や対談も

この本の内容は、全国のメディアでも取り上げられて話題となっており、多くの人々に親しまれています。特に、雑誌「波」10月号では、阿刀田高と93歳の作家・黒井千次との対談「90代の歩き方」が掲載されています。長い付き合いを持つ二人が、互いの生活を語り合う貴重な対談は見逃せません。

また、川本三郎による書評「独居老人の「暢気」」も掲載されており、多角的な視点からこのエッセイ集を楽しむことができます。

書籍の重要性

『90歳、男のひとり暮らし』は、単身での老後生活を送る方々への実践的なヒントが詰まっています。また、著者自らの90年にわたる人生経験が凝縮されており、若い世代にとっても貴重な教訓となる内容が多いのが特徴です。

後述する目次からも分かるように、衣食住から趣味に至るまで、幅広いテーマについて阿刀田は言及しています。

目次の一部紹介

- 九十歳手料理いたします
- 駄目駄目ショッピング
- 落語を読んでいます
- 老いてこそユーモア
- あとは無となれ墓はなし

このように、読み終えた後には自然と心に残ることが多く、自分自身の生活にも取り入れたくなるヒントが満載です。

本書を通じて、阿刀田高のユーモア溢れる言葉から、老いの楽しみ方や生き方について再考するきっかけを得られることでしょう。豊かな人生を感じさせてくれる滋味深いエッセイを、ぜひ手に取ってみてください。