大竜化成の工場が変わる!新時代のリノベーションプロジェクト
大東市に位置する発泡スチロールメーカー、大竜化成株式会社の工場が、設計事務所の株式会社アートアンドクラフトによって見事にリノベーションされました。現代の多くの企業が直面している「人手・人材不足」の問題に取り組むため、職場環境を改善し、より魅力的な職場へと変化させる試みです。本記事では、このプロジェクトがどのように実施されたのか、またその意義について深掘りしていきます。
プロジェクトの背景
大阪府の東部には多くの工場が点在し、様々なものづくりが行われています。特に東大阪市には5,500の工場が存在し、製造業の事業所数は全国トップクラスです。しかし、長年経営を続けてきた多くの中小企業は、老朽化した工場や社屋の修繕が喫緊の課題です。特に、経済性を重視した簡易的な建設形態が多く、職場環境の改善が後回しにされがちです。
大竜化成も例外ではなく、劣悪な環境は人材採用にも悪影響を及ぼしていました。そこで、
1. 経営者と従業員が快適に過ごせる工場
2. 家族や友人に自慢できる職場
3. 新入社員が夢を抱いて入社したくなる場所
この3つを目指し、プロジェクトがスタートしました。
リノベーションの具体的内容
製造業では長期的な操業停止が難しいため、工場を稼働させながらリノベーションを行う必要がありました。工程は4期に分け、営業を続けるエリアと改修エリアを交互に切り替えて工事を進めました。また、発泡スチロール工場での特性を考慮し、火花の飛散リスクのある工程(溶接)は行わないなど、工事方法に工夫を凝らしました。
エントランス空間も刷新され、廃棄予定の発泡スチロール製品を使用したマテリアルが導入され、企業アイデンティティを表現する場となりました。また、白い発泡スチロールが多数存在する工場内の原風景に着想を得て、ホワイトキューブのデザインが施されました。
更に、暑さ対策として屋根に遮熱塗料が塗布され、断熱性能が大幅に向上しました。これにより、工場内環境の改善が図られ、従業員の快適な作業環境が実現されました。さらに、耐震性の向上も施され、構造補強が行われています。
プロジェクトの成果と影響
リノベーションの結果、工場内の作業環境は劇的に改善されました。家具や備品は従業員自身が選定し、工夫を凝らした「DAIRYU」のロゴが設計・制作されるなど、従業員が積極的に職場に関与する姿勢が生まれています。これは、従業員たちが新たに就業意欲を持ち、愛着を感じられる場所となったことの証です。
未来への目標
リノベーション後の大竜化成の工場は、これからの時代に求められる職場環境のモデルケースとなるでしょう。老朽化した工場で働く人材が薄れつつある中で、魅力的な職場を提供することは、中小企業にとって必要不可欠な戦略です。リノベーションを通して、社員が誇りを持てる職場を創出することの重要性が再認識されています。
プロジェクトの概要
- - 名称: 大竜化成株式会社工場リノベーション計画
- - 所在地: 大阪府大東市
- - 構造: S造2階建て
- - 改修対象施工床面積: 2,190㎡
- - 工事期間: 2023年4月〜2025年5月(全4期)
- - 設計施工: 株式会社アートアンドクラフト
今回のプロジェクトは、働く環境を改善することで人手・人材不足を打破する新たな一歩を踏み出すモデルとなることでしょう。今後の大竜化成から目が離せません。