台湾機械設備製造業の進化
台湾の機械設備製造業が2030年に向けて大きな方向転換を迎えています。ワイズコンサルティング グループが発行した「ワイズ機械業界ジャーナル」の2025年第1四半期号では、AIブームに乗ったこの業界の急成長と直面する課題について深入りしています。
AI特需と市場の成長
この第1四半期、台湾の機械設備製造業は生産額2,559億元、販売額2,530億元を達成し、それぞれ前年比+9.5%、+11.8%と目覚ましい成長を遂げました。この成長の主な牽引役は、台湾積体電路製造(TSMC)を中心としたAI半導体への投資です。特に専用機械設備は前年比で23%以上の増加を見ました。アメリカの利下げの影響を受け、米国向けの需要が好調であることは、製造業者にとって明るいニュースです。
しかし一方で、中国市場における逆風も無視できません。米中貿易問題や関税の影響が続く中、これらのリスクへの対応が求められています。
複合的リスクと企業の対応
台湾企業は、米国との相互関税、台湾元の急騰、炭素費用の導入といった三重の課題に直面しています。特に、2025年以降に予定されているカーボン・フィーの徴収が迫り、エネルギーを多く消費する産業は生産工程の改革を余儀なくされています。適切な対応ができなければ、海外からの注文を失い、生産性に影響を及ぼす可能性があるため、製造業界ではグリーントランスフォーメーション(GX)が鍵となっています。
フォックスリンクの新たなビジネスモデル
電子部品の大手企業、正崴精密工業(フォックスリンク)はAI領域への進出を発表しました。自律巡回型イヌ型ロボットを開発し、これをRaaS(ロボット・アズ・ア・サービス)モデルとして展開する計画です。特に北米市場での商業展開を2025年第3四半期に見込んでいるとされています。この進展は新たなビジネスモデルの構築と、市場のニーズへの迅速な対応を示すものです。
2025年の蓄電市場の展望
台湾の蓄電市場も注目すべき分野です。2024年には216億元の市場規模が見込まれ、2025年には前年比10%以上の成長が期待されています。特に、需要家側の蓄電システムが注目されており、日本企業によるODM参入が期待されています。政府は2030年に5.5GWの蓄電容量を目指しており、これは業界全体にとっての大きな商機となります。
結論
台湾の機械設備製造業はAIの急成長を背景にありながらも、さまざまな課題にも直面しています。企業はこれらの課題に対して柔軟に対応していく必要があり、グリーントランスフォーメーションや新たなビジネスモデルの導入が求められています。未来に向けて台湾が持つポテンシャルは、これからも注目されるポイントになるでしょう。