世界が注目する“漆モダン”な椅子
ライフスタイル誌『家庭画報』が、デンマークの高級家具ブランド「フリッツ・ハンセン」と日本の伝統工芸である「香川漆芸」との特別コラボレーションを実現しました。このプロジェクトは、2025年3月1日発売の『家庭画報4月号』に収載され、作品の展示販売も行われる予定です。いかにして、異色の才能が融合した美を誕生させたのか、その詳細をお伝えします。
日本の伝統とデンマークの名作の出会い
このコラボレーションでは、香川漆芸の作家5名が、フリッツ・ハンセンの名作椅子に新たな装飾を施しました。対象となる椅子は「セブンチェア」、「グランプリチェア」、「アリンコチェア」の3種類。それぞれ、香川の三大技法である「蒟醤」、「存清」、「彫漆」を使って表現されており、いずれの作品も人間国宝の山下義人さんが監修を務めています。
これらの椅子は、美しさだけでなく、手仕事の技が凝縮されています。山下氏もその仕上がりに高い評価を寄せており、「とても美しく、見応えがあります」と述べています。自然の素材と芸術的なデザインが織り成す一品は、コレクターの心をわしづかみにすることでしょう。
各作品の魅力
藪内江美「月夜にすすきの影法師」
この作品は、自然界の光と色彩をテーマにした彫刻で、赤や緑など6色の色漆と錫粉、アルミ粉を使用しています。特に「蒟醤」の技法が生きており、その自由な線で文様がエレガントに仕上げられています。110万円という価格がついていますが、その美しさは一見の価値があります。
辻 孝史「オリーブは風にゆれて」
「存清」技法を駆使したこの作品は、うるみ色の漆にオリーブの文様が浮かび上がります。オリーブは平和の象徴として描かれ、特に風に揺れる様子を表現した線彫りが特徴的です。
松原弘明「煌めく青のグラデーション」
高松の海をモチーフとしたこの作品は、「彫漆」技法を駆使しています。色漆の層を彫ることで、海の波や風の微妙な変化を表現しました。
石原雅員「縞の織物で椅子を結わく」
石原氏の作品は、堆漆技法を用いた椅子で、縞織物のデザインに見立てています。非常に精巧で、細部にまで心遣いが感じられる一品です。
山下亨人「黄金の光と虹輪の競演」
この椅子では、黒漆の上に金色と虹色の装飾が施されています。「後光が差す様子」を表現しており、見た目のインパクトは絶大です。
コラボの意義
この企画は今年で8回目を迎え、『家庭画報』は日本の伝統工芸を広めるために、このようなコラボレーションを続けています。海外のハイブランドとのコラボを通じて、日本の技術がどのように進化し、世界に受け入れられているかを体感できる機会を提供しています。
最後に
「家庭画報4月号」の発売日は、2025年3月1日。そして、作品は「フリッツ・ハンセン 東京」での展示販売が予定されています。美の競演を堪能できるこの機会、ぜひお見逃しなく!