地方創生推進のためのDX教育の重要性
一般社団法人公民連携推進機構(以下、C+G)は、2023年11月に地域の発展を目的とした政策提言書を作成しました。この提言書は、全国で行ったアンケートを基に、417の自治体からの意見や状況を集約したものです。
調査の背景と目的
現代日本において、地方自治体は少子高齢化や人口減少など多くの課題に直面しています。その中でも2040年には約半数の自治体が消滅する可能性があるとの指摘もあります。このため、ただ単に自治体の意見をまとめるだけではなく、全国的な統一した意見として政策提言を行うことが重要とされています。
C+Gは、内閣府主導の「デジタル田園都市国家構想」など、多くの国の施策を地方自治体が有効に活用できるようにするため、全国の自治体に対するアンケートを実施しました。これにより、どのように地方創生を進め、運営課題を克服するかを提案することを目指しています。
アンケート結果の概要
提言書にまとめられた調査結果によれば、以下のような現状が浮き彫りになりました。
- - 97%の自治体が自治体職員に対するDX教育の必要性を認識
- - 自治体業務において最もデジタル化を進めてほしい業務は「決裁・申請業務」
- - 60%以上の自治体が市民向けのデジタル教育を未実施
- - 80%以上の自治体が教育現場でのデジタル活用支援が必要
- - 58%の自治体が課題を抱えている公共施設が存在
- - 40%近い自治体がSNSの運用に課題あり
この結果からも、いかに多くの自治体がデジタル化の必要性を認識しつつ、その実行が伴っていないかが浮かび上がります。特に、DX教育のための予算や人材確保に関する課題が多いことが分かりました。
自治体職員の実態とデジタル化の障壁
アンケートにおいて、自治体職員が最も「不便」や「大変」と感じている業務のトップは「紙でのやりとりやアナログ管理」が多い点です。デジタル化が進んでいないため、業務効率が悪化していることが伺えます。また、57%の自治体が、職員のDX教育に予算がないと回答しており、この状況がデジタル推進を妨げている要因の一つであることが浮き彫りとなりました。
さらにデジタル教育が未開催の自治体が60%以上存在し、教育によって市民のデジタルリテラシーを向上させる必要性が高まっています。
未来の展望と課題
これからの地域創生には、地方公共施設の再利用やデジタル教育の推進が不可欠です。C+Gは提言書を通じて、地方自治体が直面する運営課題やデジタル化に向けた方策を明らかにし、各省庁に提案を行いました。市民向けのデジタル教育や教育現場での支援を強化することは、地方自治体が持続的に成長するための鍵となります。
今後、C+Gはさらに多様な調査と分析を進め、地方自治体の活性化に向けた取り組みを続けます。全ての提言内容は、C+Gの公式HPで確認することができます。
C+Gのミッション
C+Gは「民間企業の活力を、地方自治体に。地方の魅力を民間企業に」という理念のもと、公共と民間の連携を促進し、地方自治体の活性化を目指しています。少子高齢化に起因する地域課題を解決するため、引き続き調査研究や政策提言に取り組んでいく所存です。