旭化成と旭化成ファーマが大河内記念技術賞を受賞
2023年3月25日、東京都千代田区にある日本工業倶楽部会館で行われた贈賞式において、旭化成株式会社と旭化成ファーマ株式会社が第71回大河内記念技術賞を受賞したことが発表されました。この賞は、生産工学及び高度な生産技術における顕著な業績を表彰するもので、1954年に設立されて以来、権威のある称号として知られています。
受賞テーマの概要
受賞テーマは以下の通りです:
- - 旭化成: 「錠剤賦形材料としての高成形性・高流動性結晶セルロースの開発」
- - 旭化成ファーマ: 「スマートセルを活用したコレステロールエステラーゼの大量生産技術開発」
この2つの技術は、医薬品製造における革新をもたらし、患者にとってより使いやすい製品の提供に寄与しています。
旭化成の受賞内容
旭化成は、その高成形性・高流動性結晶セルロースの開発によって受賞しました。この製品、「セオラスTM」は、錠剤製造において割れ欠けを防ぐ特性と、製造装置内での均一かつ迅速な充填を可能とする流動性を兼ね備えています。しかし従来の技術では、これらの特性を両立させることが非常に困難とされていました。旭化成は、空隙を持つ多孔質状の粒子形状を持つ「セオラスTM(UFグレード)」を工業的に生産できる技術を確立することで、これまでの課題を解決しました。
この技術により、小型錠剤や微量・複数の有効成分を含んだ医薬品の生産が効率化され、より患者に優しい製品開発が可能になりました。これまでも1970年から続く結晶セルロースの販売を通じて、健康食品や医薬品を手がけてきた旭化成が、今後も新たな賦形材料の開発に積極的に取り組む意向を示しています。
旭化成ファーマの受賞内容
一方、旭化成ファーマは「コレステロールエステラーゼ(CE)」の大量生産技術の開発で受賞しました。CEは、脂質異常症の診断に用いられ、特にLDLコレステロール値やHDLコレステロール値の算出に欠かせない酵素です。
従来の生産方法では、そのメカニズムが複雑であったため、大量生産が難しい状況でしたが、旭化成ファーマは国立研究開発法人産業技術総合研究所と協力し、「スマートセル技術」を活用しました。このアプローチにより、CEを生産するための機能未知遺伝子を特定し、大量生産を実現。従来の生産能力と比較して、30倍以上の向上を果たしました。
未来への展望
旭化成と旭化成ファーマの技術革新は、医療業界において大きなインパクトをもたらすと期待されています。今後も両社は、これらの技術を基に、新たな製品や技術の開発を続け、医療のさらなる革新と患者への貢献を目指していきます。
これらの成果は、技術革新を推進するだけでなく、医療現場のニーズに応じた製品開発を牽引していくことになるでしょう。大胆な発想と、先進的な技術を融合させることによって、旭化成と旭化成ファーマは、より良い未来の医療を実現していくことを約束しています。