シック・ジャパンが実践した企業変革の真相
シック・ジャパン株式会社は、カミソリの市場で29年間連続でトップの地位を誇る企業です。しかし、近年は成長の停滞と組織の硬直化といった厳しい状況に直面していました。そこで、2022年8月に社長に就任した後藤秀夫氏は、「現状維持は衰退」の危機感を抱き、企業変革に挑む決断をしました。2年という短期間で、シック・ジャパンはただのシェービング企業から、トータルビューティグルーミングカンパニーへと見事に生まれ変わったのです。
企業変革の背景
シック・ジャパンは、業界のリーダーとしての地位は揺るぎないものの、成長の鈍化は顕著でした。この背景には、消費者の新たなニーズや競合の激化が影響しています。後藤氏は、これらの課題に対してどのようにアプローチしたのでしょうか。
新たなビジョンの策定
変革の第一歩は、新しいパーパスとビジョンの策定から始まりました。シック・ジャパンの存在意義や目指す姿を再定義し、社内全体に浸透させることによって、社員の意識を一新することを目指しました。このプロセスはまず、「ビューティグルーミングカンパニー」という新しいコンセプトの浸透を約束しました。
ポートフォリオ戦略の再構築
シック・ジャパンは、既存のシェービングビジネスに依存することなく、新たに開発したブランド「シックファースト トーキョー」や「プロジスタ」を加え、圧倒的な競争力を持つポートフォリオ戦略を展開しました。これにより、業界内でゲームチェンジャーとしての地位を固めました。
組織改革
次に、組織の抜本的な再構築が行われました。この段階では、シンプルな組織構造を目指し、適所適材の原則に基づいて人材を配置しました。その結果、より柔軟で迅速な意思決定が可能となり、効果的な業務運営を実現しました。
短期的な成果を重視
変革の過程では、小さな成功を繰り返し、「見える化」することで、達成感を味わえる環境を整えました。承認や称賛の文化を根付かせることで、社員全体のモチベーションを高め、ポジティブな循環を生み出しました。
成果のフィードバック
改革2年目の2024年度には、前年比二桁成長を達成し、利益率も期待を上回る結果となりました。さらに、社員のエンゲージメントも劇的に向上し、ポジティブスコアは57%から81%へ。これらの成果は、Great Place to Work®に選出される要因となりました。
編集後記
社長である後藤氏は、自身の著書「Schick TURN AROUND シック・ジャパン企業変革のレシピ」の中で、これらの経験をまとめています。本書は、実践的な事例を通じて、誰にでも再現可能な企業変革の手法として体系化されています。後藤氏が述べている通り、人が変われば組織も変わり、その結果も変わるのです。この一冊が、未来の企業変革に取り組む人々にとっての道しるべとなることを期待しています。
著書「Schick TURN AROUND」は2025年5月23日に刊行予定で、全国の書店やオンラインでの購入も可能です。シック・ジャパンの変革と成長の秘訣を学びたい方は、ぜひ手に取ってみてください。