SHW Tech、次世代半導体材料SiCの常温接合に成功
SHW Tech株式会社は、次世代パワー半導体材料として急速に需要が高まっているSiC(炭化ケイ素)とシリコン、サファイアを使用した常温接合技術に成功しました。これは、台湾・国立成功大学の水野潤教授との共同研究に基づくもので、同社が開発したゼロレディーボンディング技術「IFB(Ion Flow Bonding)」を活用しています。
次世代パワー半導体材料SiCの重要性
SiCは、EVや再生可能エネルギー向けの重要な材料であり、高耐圧・高耐熱性と低損失性を兼ね備えています。特に、これらの分野では、パワー半導体の性能向上が求められており、SiCの需要が急増しています。
しかし、SiCは非常に硬く、化学的に安定しているため、従来の技術ではサファイアとの常温接合が極めて難しいとされてきました。このような課題を克服するため、SHW Techは特許を取得した独自の接合技術IFBを開発しています。ベント処理を利用し、酸化膜を原子レベルで除去することで、室温近くの低荷重で接合することが可能になりました。
IFB技術による革新
このIFB技術によって、SHW TechはSiC–Siおよびサファイア–SiCという異種材料間の常温接合を実現しました。この成功により、SiCを利用した新たなデバイス構造や3D実装技術の開発に向けた重要な基盤技術が確立されました。今後は、さらに難易度の高い接合であるSiC–GaNやGa₂O₃、ダイヤモンドなどへの応用を目指します。
この技術革新は、EV向けのパワーモジュールや高速通信、データセンター用電源、光学センサーといった多岐にわたる分野での実装効果を期待させます。SHW Techでは、装置メーカーやデバイスメーカーとの連携を強化し、研究試作から量産検証まで一貫した体制を整えていく方針です。
代表者のコメント
SHW Tech株式会社の代表取締役、長田厚氏は「SiCは脱炭素社会を支える重要な材料だが、その加工や接合は極めて難しい。本技術による常温接合の成功は、新しいデバイス構造や3D実装技術の実現に向けた重要な一歩だ」と述べています。特に、IFB技術は酸化膜レスで金属パッドを接続でき、高密度な3D実装へ大きく寄与する可能性があります。
会社概要
SHW Tech株式会社は、半導体製造工程において表面処理技術、接合技術、及び検査技術の開発を行う企業です。日本、台湾、中国、韓国を中心に、アジア地域で広く装置やプロセス技術の提供を行っています。
- - 本社所在地: 山梨県甲府市
- - 代表者名: 長田厚
- - 事業内容: 接合装置の開発・製造・販売、検査装置の製造・販売、枚葉高速アニール装置の製造・販売
- - 公式ウェブサイト: SHW Tech株式会社
詳細な情報や技術についてのお問い合わせは、担当の長田氏までE-mailまたはホームページより可能です。