商船三井、LBCタンクターミナルの全持分を取得
株式会社商船三井(社長:橋本 剛)が、2025年6月30日にタンクターミナル会社であるLBC Tank Terminals Group Holding Netherlands Coöperatief U.A.(LBC社)の全持分を取得することを公式に決定しました。これは2025年3月7日に締結した持分譲渡契約に基づくもので、取得価格は1,715百万米ドルに上ります。
この取引は商船三井にとって大きな意義を持ち、ケミカルロジスティクス事業を成長が見込まれる戦略的領域として位置付けており、2019年のNordic Tankers、2024年のFairfield Chemical Carriersに続く重要なステップです。LBC社の買収により、海上輸送に加え、陸上保管の機能が追加され、ケミカル物流サービスの体制が強化されることになります。この新たな体制により、顧客の多様なニーズに柔軟に対応できると同時に、タンクターミナル事業による安定収益も期待できます。
安定した収益基盤の構築
商船三井の経営計画「BLUE ACTION 2035」では、安定収益型ビジネスの柱としてタンクターミナル事業が重視されています。この事業はボラティリティが低く、長期的に収益をもたらす可能性が高いとされています。特に、ケミカル物流におけるトータルロジスティクスサービスを提供することで、業界のニーズに応える体制が整います。
脱炭素社会へ向けた取り組み
また、商船三井は脱炭素社会の実現を目指し、アンモニアやCO2の輸送需要の拡大にも対応すべく、陸上貯蔵ビジネスをビジネスモデルに組み込むことを決定しています。この取り組みは次世代エネルギー事業への展開を加速させ、環境への配慮とともに新たな成長機会を創出します。
橋本社長のコメント
橋本社長は次のように述べています。「LBC社を当社グループに迎え入れることで、海を起点とした社会インフラ企業への変革を加速します。当社のグローバルネットワークの強化とLBC社の専門性の融合により、新たな価値の提供に努めます。」と述べ、グループの強化に対する期待を表明しました。
LBC社 CEOの期待
LBC社のCEOフランク・エルケレンス氏も、「MOLグループとして新たな章を歩むことを楽しみにしています。両社の強みを合わせることで、新しい価値を創出できると確信しています。」とコメントし、両社の協力によるケミカルロジスティクス事業の強化と次世代エネルギー事業の拡大に自信を見せています。
企業背景
LBC Tank Terminalsはオランダに本社を置く企業で、液体化学品や石油製品の貯蔵を主な業務としています。設立は2013年で、今では欧州と米国で7つのターミナルを運営し、タンクターミナル業界でも最大手の一つとなっています。
この戦略的な買収を通じて、商船三井はケミカル物流のさらなる強化に取り組むとともに、次世代エネルギーへの展開を加速させる姿勢を示しています。この新たなステップがどのように市場に影響を与えるのか、今後の動向が注目されます。