オンライン服薬指導で変わる薬局業務の未来
2023年7月10日、株式会社タカゾノと株式会社OZが共に手掛けたオンライン服薬指導サービス『パッと薬 遠隔さん』が正式に販売を開始しました。この新しいサービスは、薬局における服薬指導の在り方を大きく変える可能性を秘めています。患者様が店舗に足を運んだ際、かかりつけの薬剤師が不在でも、遠隔地からオンラインで適切な指導を受けることができるという、まさに次世代のサービスです。
サービスの特長
『パッと薬 遠隔さん』の最大の特長は、処方箋原本を持参する患者様に対し、担当薬剤師が他店舗からオンラインで指導できる仕組みです。このシステムは、令和4年9月30日に厚生労働省から発表された通知「オンライン服薬指導の実施要領」に則って運用されるため、法令遵守が確保されています。
導入することで、以下の主な効果が期待されています。
1.
患者・薬剤師双方の満足度向上:かかりつけ薬剤師による継続したサポートで待ち時間を短縮し、感染リスクも低減。
2.
薬局業務の平準化・効率化:人材の柔軟な配置によって業務の偏りを解消し、短時間勤務や育休人材の活用が可能に。
3.
突発事象への柔軟対応:急なお休みや繁忙時のリモート対応が実現し、災害時のバックアップ手段としても機能します。
4.
地域医療支援:オンライン診療との連携で、特に交通が不便な地域や人材不足地域へのサービス提供が可能です。
5.
薬局の生産性と収益性の向上:業務を標準化することでコスト削減が進み、持続可能な経営ができるようになるでしょう。
安全性と導入の容易さ
『パッと薬 遠隔さん』は、高いセキュリティ対策と個人情報保護の観点から、送信された処方箋画像が一定期間後に自動削除されるなど、安心して使用できる環境が整えられています。また、既存の医療情報システムに変更を加えることなく、スムーズな導入が可能です。
未来展望とネットワークの強化
株式会社タカゾノは医療・薬科機器メーカーとして、分包機など幅広い製品を提供しています。今後、タカゾノが手掛ける「調剤システム」や「分包機」とOZのサービスとを連携し、薬局の受付から調剤、服薬指導に至るまでを統合的に支援する計画があります。こうした取り組みによって、薬局が地域医療の一翼を担い、変化する医療ニーズに柔軟に対応できる未来が期待されます。
現在、タカゾノは国内において高いシェアを持ち、業界内で確固たる地位を築いています。一方、OZは2024年に設立された若い企業で、薬局向けの新たなシステムの開発にも積極的です。
両社は今後、共同でのシステム開発や導入支援を進め、薬局向けの新たな業務モデルの提案や実証事業の展開を視野に入れ、薬局のICT化やデジタルトランスフォーメーションをさらに推進する方針です。
オンライン服薬指導は、患者の利便性を高めるだけでなく、薬剤師の働き方をも大きく改革する力を秘めています。今後、ますます進化する薬局業務に期待が寄せられることでしょう。