セイコーエプソンがNet-Zero目標を承認
2023年、セイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)が、環境に関する国際的団体であるScience Based Targets initiative(SBTi)から、Net-Zero目標およびそれに伴う短期と長期の気候目標を承認されました。これは、エプソンの温室効果ガス(GHG)排出削減計画が、パリ協定が掲げる「1.5℃目標」の達成に寄与する科学に基づいた目標であることが裏付けられたことを意味します。
エプソンの環境への取り組み
エプソンは、気候変動や地球温暖化が現代社会が直面する大きな課題の一つであると認識し、これに対処するために「環境ビジョン2050」を掲げています。このビジョンの下、エプソンは、同社の技術の根底にある「省・小・精の技術」を利用して、製品の環境性能を向上させる取り組みやビジネスプロセス全体の環境負荷を軽減させる努力を行っています。
特に、エプソンは2018年に初回のGHG排出目標を承認され、その後1.5℃への挑戦として目標の引き上げを行いました。2025年度の目標をクリアし、再生可能エネルギーの全面導入を前倒しで達成し、その結果、次期の中長期目標の見直しが必要となったのです。
短期および長期目標の内容
SBTiに申請し、承認された以下の短期・長期目標が示されています。基準年は2017年度です。
短期目標
- - 2030年までにScope1,2,3のGHG排出量を総量55%減
- - 2030年までにScope1,2のGHG排出量を総量90%減
長期目標
- - 2050年までにScope1,2,3のGHG排出量を総量90%減
- - 2050年のNet-Zero達成
この2050年のNet-Zero目標は、先ほどの短期および長期目標に基づいて、スコープ1,2,3すべてのGHG排出量の直接削減を重視し、削減が困難な残余排出量には吸収・除去技術を導入することで達成する計画です。
サプライヤーとの連携
エプソンのGHG排出量の90%以上は、バリューチェーンの生成プロセスから発生しています。このため、サプライヤーとの協力が不可欠です。エプソンでは、環境負荷を低減するためのサプライヤーエンゲージメント活動として「エプソングリーンサプライチェーン」プロジェクトを始動しました。このプロジェクトでは、GHG排出量の正確なデータを把握するため、可視化ソリューションを導入し、一次データの収集を進めています。
また、主要なサプライヤーと共に再生可能エネルギーを調達する取り組みも進めており、全体としての温室効果ガスの削減を目指しています。これにより、サステイナブルなビジネスモデルを確立し、グローバルな環境目標の達成に貢献するのです。
環境技術開発
エプソンは、CO2吸収技術の開発にも取り組んでおり、SBTiの達成に貢献するだけでなく、独自のカーボンマイナス目標の達成を目指しています。これらの取り組みによって、エプソンは社会全体の脱炭素化にも貢献できると考えています。国際的なフィールドでの協力や技術革新を通じて、エプソンは持続可能な未来の実現を目指しています。
以上のように、エプソンは2050年を見据えた脱炭素化の取り組みを強化しており、SBTiによるNet-Zero目標の承認は、その一環としての重要なステップと言えるでしょう。さらに、これからの活動がどのように発展し、持続可能な社会に寄与していくのか、引き続き注目が必要です。