久保井塗装株式会社が実現した超高塗着塗装技術
埼玉県狭山市に拠点を置く久保井塗装株式会社が、プラスチック部品の塗装プロセスに革命をもたらす新しい塗装技術の開発に成功しました。この技術は、塗着効率85%以上を誇り、従来の塗装方法と比較して驚異的な環境負荷の低減を実現します。これにより、企業の持続可能な成長が期待されています。
高塗着効率を実現
久保井塗装の新たな塗装技術は、従来の塗装機器や塗料では約40~50%がターゲットに塗さえなかったところから、85%以上への飛躍を可能にしました。この革新的なアプローチは、経済産業省による支援を受け、東京都立大学や他の企業との共同研究によって生まれました。高塗着効率を実現することで、無駄な塗料を減らし、環境負荷を大幅に軽減しています。
技術の中核には、高度化したエア霧化技術があります。この技術により、静電気を用いることなくプラスチック製品の塗装が可能となり、外観の品質も向上します。更には、エア霧化の特性を利用してメタリックやマット仕上げといった多様な塗装に対応することができ、従来技術に比べて騒音の低減や省エネ効果も期待できます。
塗装業界の環境課題
塗装業界は、環境への配慮が求められる中で、CO2排出の削減が喫緊の課題となっています。プラスチック部品に使用される塗料の多くは石油由来のものであり、製造から廃棄に至るまでのCO2排出量が社会問題とされています。パリ協定以降、2050年に向けて石油の使用を減少させる大きな流れが存在します。これにより、塗料の原材料も今後大きな変化を迫られると予想されており、サプライチェーン全体としてのCO2削減にどのように貢献するかが問われています。
特に自動車業界では2035年が目標とされ、塗装業界は自動車部品の塗装を手掛ける企業として、その課題に直面しています。塗着効率の向上は、無駄になる塗料を減らし、材料費の削減や環境負荷の低減に直結します。
従来技術の限界
従来のエア霧化塗装方式では、噴出した塗料の半分以上が塗着に至らないという大きな課題がありました。この現象は、圧縮空気の速度が高すぎて塗料が跳ね返ってしまうためです。また、静電塗装はプラスチック部品の形状に適合しないという限界もあります。これに対し、久保井塗装が開発した新たな技術は、これらの問題を解決するものであり、品質や作業性を保持しながら環境への配慮を実現しています。
将来の展望
新たに開発された超高塗着塗装システムの特許は各国で取得を目指しており、2025年には実用化モデルの完成を目指しています。また、2026年には新工場の設立を予定し、実際のデモンストレーションを通じて、技術の普及を進めることが計画されています。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)に質的に貢献する可能性が大いに期待されています。
久保井塗装の動きは、塗装業界のこれからを示す重要な一歩であり、彼らの成果が他の企業や業界に与える影響は計り知れません。環境に優しい技術の導入は、今後のビジネスにおいても必要不可欠な要素となるでしょう。