宮口幸治氏が語る「境界知能」の正しい理解と実践

境界知能に迫る、宮口幸治氏の新刊

著者・宮口幸治氏の最新作『境界知能存在の気づかれない人たち』が、11月1日に発売される。この新しい書籍は、「境界知能」という言葉に光を当て、その実情を明らかにすることを目的としている。著者は、シリーズ累計220万部を誇る『ケーキの切れない非行少年たち』の著者でもあり、これまでの実績からも多くの読者に支持されてきた。

境界知能とは何か？

「境界知能」とは、IQ70以上85未満の人々を指す言葉だ。この層に該当する人々は、日常生活において生きづらさを感じることが多いにもかかわらず、支援が必要であることが見過ごされがちである。本書では、そんな境界知能を持つ人々の認知的特徴や社会的な側面に焦点を当て、具体的なケーススタディを用いて解説していく。

様々な側面からのアプローチ

書籍は4つの章で構成されている。第1章では、境界知能に関連した最近の事件や社会での様子が紹介され、なぜこのテーマに対する理解が重要なのかが強調される。また、第2章では境界知能と軽度知的障害の歴史的背景について詳述し、論じられてきた問題点を明らかにしていく。

第3章では、境界知能の特性について詳しく取り上げる。この部分では認知の特徴や社会行動、運動面での挙動まで具体的に説明されており、日本国内ではこのような詳細な情報が一冊の本にまとめられたのは初めての試みだ。最後の第4章では、国内外の研究動向や国際会議の成果など、境界知能の理解がいかに広がりつつあるのかも紹介されている。

著者の経歴

宮口幸治氏は立命館大学の教授であり、一般社団法人日本COG-TR学会の代表理事でもある。京都大学工学部を卒業後、建設コンサルタントとしてのキャリアを積み、さらには神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院などでの勤務経験も持つ。医学博士であり臨床心理士でもある彼は、2016年から立命館大学で教鞭を執っている。

彼の著作には、2020年度新書部門のベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』に加え、子どもたちの理解を深めるための作品多数がある。これらの実績から、境界知能に関する専門家の一人としても広く認識されている。

本書の意義

今回の新刊『境界知能存在の気づかれない人たち』は、これまであまり知られていなかった境界知能についての知識を深め、さらなる社会的理解を促進することが期待されている。身近な問題を扱いながらも、歴史的な背景から最新の研究まで網羅した内容は、多くの読者にとって新たな視点を提供することでしょう。

この本は、全国の書店やオンラインショップで販売されており、発行元は扶桑社。定価は1045円（税込）と手頃で、読む価値のある一冊である。