2016年から毎年発表されている国連の「持続可能な開発目標報告書」の2024年度版(以下「SDGsレポート2024」)が、6月28日に公表されました。
この報告書は、SDGsの目標達成が困難であることを示す、強い危機感を表明しています。17の目標のうち、予定通りに進んでいるのはわずか17%で、半数近くはわずかな進捗にとどまり、3分の1以上は停滞または後退しています。
報告書は、気候変動、平和と安全保障、不平等など、複数の要因がSDGsの進捗を阻んでいることを指摘しています。特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響、紛争の激化、地政学的緊張、地球温暖化が大きな課題として挙げられています。
具体的な例として、世界的な子どもの死亡率の削減やHIV感染の予防、エネルギーやブロードバンドインターネットへのアクセスなど、進展が見られる分野も紹介されています。しかし、目標達成期限である2030年まであと6年しかない現状では、現在の取り組みでは不十分です。
SDGsの達成には、大規模な投資と行動の拡大が不可欠であると報告書は強調しています。また、開発途上国への資金不足や、国際金融アーキテクチャの刷新、紛争の解決などの緊急課題が挙げられています。
国連は、2024年9月22日から23日にかけてニューヨークで開催される「未来サミット」が、SDGs達成に向けた重要な転換点になると期待しています。未来サミットでは、債務危機への対応や国際金融アーキテクチャの刷新などが議論される予定です。
さらに、2025年6~7月にスペインで開催予定の「第4回開発資金国際会議」と、同年に開催される「第2回世界社会開発サミット」も、SDGs達成に向けた機運を高める上で重要な機会となるとされています。
「SDGsレポート2024」は、SDGsの達成に向けて、世界が直面している課題と緊急性の高い課題を浮き彫りにしています。目標達成には、政府、企業、市民社会など、あらゆる主体が連携し、具体的な行動を起こすことが求められています。