大学生から高校生へ、海の未来を考える哲学の輪が広がる
2月2日、福井県大飯郡高浜町の高浜公民館で「ざわザワ高校~海の未来を変える哲学~」の第6回が行われました。このプログラムは、高校生たちが海の持続可能な利用と保全について学び、地域社会との連携を深めることを目的としています。今回の発表会では、参加した高校生たちが1年間の学びを振り返るとともに、独自の提言を行い、地域の人々と対話を交わしました。
活動の背景と意義
一社法人福井環境研究開発が主催するこのプログラムは、「海と哲学」をテーマに、高浜町の持つ豊かな海の資源とその保護の重要性を高校生たちに知ってもらうための取り組みでした。活動は昨年6月から始まり、何度も地域の人々とフィールドワークを行いながら、海の文化的・精神的な価値を見出してきました。
発表の内容と反響
発表会では、2つのテーマに分かれてそれぞれのグループが勉強してきた内容を発表しました。
発表①「海と暮らし」
最初の発表では、「海が近い」という高浜町の環境がどのように人々の生き方に影響を与えているのかを探りました。高校生たちは海の恵みを生活の一部として捉えつつ、地域の文化的価値をどう理解するかを考えました。発表の最後には、地域の人々に向けた8つの具体的なアクションアイデアが提示されました。
この発表に対し、高浜町の産業振興課の中村さんは、「海の近さが持つ盲点に気づかされた」と述べ、今後の取り組みに対する期待を寄せました。漁師の藤本さんは、高浜町の豊かさを再認識させる提案があったことを評価しました。
発表②「日本人にとって海とは」
続く発表では、「海が持つ文化的、精神的な価値」を探り、海と人間の関係性について深く掘り下げました。海を「神聖な場所」と「生活の場所」に分け、哲学的な対話を通じて、海への感謝を表現するイベントの提案もされました。特に、自分たちのために与えてくれた海に対する感謝を表現することが重要であると高校生たちは主張しました。
講評を担当した高浜町の関係者からは、「難しいテーマを分かりやすく伝えた」との評価があり、地域の人々や海の文化を意識することが大切であるとの意見が寄せられました。この発表を通じて、高校生たちは地域社会との新たな絆を築くことへの理解を深めました。
プログラムの成果と今後の展望
発表後、参加した高校生たちはこの1年間の経験を振り返り、フィードバックを受け取る中で、多様な視点を持つことの大切さを再確認しました。プログラムを通して、海の未来を考えることが自己の成長につながることを理解したようです。半数以上の生徒からは、「また参加したい」という声があったことが、その成果を物語ります。これは、このプログラムが次世代へ向けて新しい価値観を醸成した証でもあります。
海は私たちの生活に密接に関わる存在です。哲学と思考を通じて、次世代が海を守る力を育てていくことは、今後の持続可能な社会を支える重要な鍵となるでしょう。福井環境研究開発の取り組みは、そんな未来を築くための起点となるのです。今後もこのような活動が全国各地で広がることが期待されます。