アート支援の革新
2021-08-31 10:45:41
持続可能なアート支援の新しい形を提示する「White Canvas」
近年、東南アジアのアート市場が注目を集めていますが、その実情は厳しいものがあります。経済規模が小さな国々では、多くのアーティストが優れた作品を制作しても、十分な対価を得られないケースが多発しています。特に、安価で購入されたアート作品が先進国で高額で取引される一方で、アーティストには還元されないという悲しい現実があります。このような状況を打破するために、注目を集めているプロジェクトが「White Canvas」です。
「White Canvas」は、2020年にスタートしたアートコンペティションで、「SDGs×ART」をテーマにしています。このプロジェクトは、東方文化支援財団の支援のもと、カンボジア、スリランカ、タイのアーティストを対象にしています。White Canvasはアーティストの評価や対価の問題に取り組むことを目的としており、そのためにブロックチェーン技術を取り入れています。
このプロジェクトのユニークな点は、入賞作品に専用のICタグを装着し、その情報をブロックチェーン上で管理していることです。これにより、作品の作者や所有者の情報、さらには作品の売買時に作者へ支払われる還元金のルールが明確に記されています。具体的には、売買時に作品価格の20%を作者に還元する仕組みがあります。また、タグをスマートフォンでスキャンすることで、作品の来歴や還元金の支払い状況を簡単に確認できるようになっており、アーティストへの還元を促進するためのシステムが構築されています。
最近では、カンボジア人アーティストのチウ・ヒーア氏(Chheav Hea)がこの仕組みから初めての還元金を受け取ることができました。ヒーア氏の作品は株式会社TRiCERAが主催するオークションイベント「START」で約61,000円で売却されました。この取引を通じて、初めて還元金が支払われるという新しい支援の形が具体化し始めました。ヒーア氏は、作家たちを持続的に応援するシステムの創出に感謝し、作品を通じて平和や愛をテーマにする意向を示しています。
さらに、White Canvasは新型コロナウイルスの影響を受けて、VIアート展を計画し、9月2日からVRプラットフォームで展開催します。これにより、より多くの人々にアートを楽しんでもらうことを目指しています。参加者はパソコンやスマートフォンからVR空間へアクセスでき、仮想的に作品を鑑賞することができます。
White Canvasは、カンボジア、スリランカに加え、今後はラオス、ブータン、モルジブのアーティストも参加する予定です。これにより、東南アジアのアート文化がより一層広がることが期待されます。
「White Canvas」は、持続可能で公正なアートの価値を創出するための強力な取り組みであり、アート市場における新しい風を吹き込む存在となっています。これからの展開に注目が集まるでしょう。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人ソーシャルコンパス
- 住所
- 神奈川県横浜市中区桜木町1丁目101番地1クロスゲート7階
- 電話番号
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050-5809-5322