NPO法人ファミリーコミュニケーション・ラボ、10周年を迎える
NPO法人ファミリーコミュニケーション・ラボ(以下、ファミラボ)は、2015年に法人化され、2025年に設立10周年を迎えます。この組織は不登校に悩む親たちの交流を目的として、2008年に設立されました。当時、SNSの一つであったmixiがその活動の舞台となり、4人の母親が自らの経験を元に、安心して話せる場の提供を目指しました。
親の交流から広がった支援の輪
ファミラボの活動は、単なる親の会から始まりましたが、今では大阪、名古屋、東京に傾聴サークルが形成され、定期的に勉強会や交流会を行うまでに成長しました。2015年に法人認証を受けた後は、オンラインを含む12カ所で活動を展開し、その会員数は350名以上に達しました。mixiの掲示板には現在、1,770名が参加し、多くの人々がこの活動に賛同しています。
ボランティアによる運営
ファミラボの特徴的な部分は、すべての運営が当事者である母親のボランティアによって支えられていることです。運営スタッフは2〜3年の任期で交代し、これまでに延べ200人以上の母親が活動に関わってきました。彼女たちは「同じ立場だからこそ寄り添える視点」を持ち寄り、傾聴や勉強会を通じて不登校に対する理解を深めてきました。また、支援を受けた母親の中には、教育者として活動をする者や、今もなお当事者の支えを続ける者もいます。
学びを通じた成長
ファミラボの活動の中心には、「傾聴」での学びがあります。傾聴とは、単に耳を傾けるだけでなく、相手の感情に寄り添いその心を受け止めることを指します。このプロセスは、親子の関係を修復し、子どもが自らを受け入れられるようにする大切な支えとなっています。親自身が傾聴を学ぶことでその変化は家庭全体に波及し、安心感に満ちた環境を作ります。
2024年には、傾聴勉強会や交流会、全国大会に約800人が参加することが見込まれ、千差万別な背景を持つ多くの人々が集まります。
不登校のその後を見据える
不登校は一時的な不安をもたらしますが、ファミラボの活動に参加した子どもたちは、自分らしさを少しずつ取り戻しています。設立当初から関わった子どもたちの中で、最年長は35歳となり、様々な道を歩んでいます。また、中学校3年時に不登校であった63人の子どもを対象に調査を行った結果、5年後には非就学や非就労の人数がわずか3人(約5%)という前向きな結果が出ています。
今後の展望と協力の広がり
近年、ファミラボへの関心が高まり、他団体や行政機関、企業、学生との連携が増えてきています。これまでの実績を基に、研究や研修、イベントの開催を通じた新たな取り組みも進めています。今年も全国に広がる仲間と心でつながる安心感を大切にし、一層の発信に努めています。
10周年記念イベントの予定
10周年を祝い、2025年11月22日には特別企画の全国大会「ファミスペ2025」を大阪で開催します。不登校状態の子どもたちを支えるために、就労に向けた支援や準備についての講演も予定しています。イベントへの参加は先行申し込みで埋まることが多く、希望される方は早めの申し込みをお勧めします。
この10年間、母親たちが支え合い変わり続けてきた結果、築かれた豊かな活動の輪が、これからも多くの子どもたちと家族に幸せと安心を届け続けることでしょう。ファミラボの公式ホームページでは、詳しい情報や今後の活動についてお知らせしていますので、ぜひチェックしてみてください。