国際的な薬物乱用防止活動の推進
3月12日、オーストリアのウィーンにて、第68回国連麻薬委員会が開催され、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下、当財団)によるシンポジウムが行われました。このイベントは、当財団が40年以上にわたり日本国内で進めてきた薬物乱用防止活動の国際的な展開を目指すものであり、ウガンダのNGO団体との共催によって実現しました。
シンポジウムの概要と目的
「ダメ。ゼッタイ。」のスローガンで知られる当財団は、国連が支援する募金活動の30周年を迎え、今回のシンポジウムでは特に「非公式な国際的なプラットフォームの形成」に焦点を当てました。藤野彰理事長は、プラットフォーム開設の意義について触れ、国連機関である国連薬物・犯罪事務所(UNODC)と国際麻薬統制委員会(INCB)からの全面的な支持を受け取りました。このプラットフォームは、薬物乱用対策に向けた新たなネットワークを構築することを狙いとしています。
ウガンダにおける薬物乱用の現状
シンポジウムでは、ウガンダのNGO団体「Uganda Youth Development Link (UYDEL)」のカシリエ博士が登壇し、ウガンダにおける薬物乱用の現状について報告しました。彼は、薬物問題が貧困や性的虐待、人身売買と深く関連していることを指摘しました。こうした複合的な問題に取り組むためには、国際的な協力が不可欠であるとの認識が共有されました。
学生たちの声
また、日本の大学から参加した二名の学生が、自身の経験を通じて薬物乱用防止の重要性を訴えました。彼らは、このプラットフォームに参加することの意義を強調し、次世代のリーダーシップを育むための環境づくりの必要性を述べました。
国連機関からの支援
シンポジウムには国連薬物・犯罪事務所の事務局長代理、ジョバンナ・カンペロ女史も参加しました。彼女は、薬物乱用への効果的な対策を講じるためには、エビデンスに基づいたアプローチと地域ネットワークが必要であることを強調しました。また、資金不足や地域に適した解決策の必要性についても言及し、共に解決策を見出すための国際的な連携の重要性を訴えました。さらに、INCBを代表するセビル・アタソイ博士が、特に子どもや若者への早期介入の価値を強調し、治療やリハビリテーションと並び予防施策も重要であると語りました。
今後の展望
当財団は今後、国連機関の支援を受けながら、このプラットフォームの開始と拡充に向けて、特にアジアやアフリカのNGO団体との連携を強化していく予定です。日本国内での薬物乱用防止に関する意識を高めるだけでなく、国際的な視点からも課題解決に向けた取り組みを進めていくことが期待されています。
組織の紹介
公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターは、1987年に設立されて以来、薬物乱用防止活動を行ってきました。国際的にはUNODCを通じ、開発途上国への支援を続け、35年で約7億5,550万円を調達し、世界の786のプロジェクトに貢献しています。今後も国際的な協力を強化し、より多くの人々が安全で健全な生活を送れる社会を目指します。