資金削減が引き起こす子どもたちの栄養危機
ユニセフ(国連児童基金)によると、世界的な人道支援資金の削減が子どもたちに深刻な影響を与えており、特に、1,400万人以上の子どもが栄養支援を受けられなくなる可能性があります。このような事態は、重度の栄養不良や命を落とすリスクを高める恐れがあるとされています。
この分析は、2025年3月にパリで開催される「成長のための栄養サミット」を前に行われたものです。資金の不足は、避難を余儀なくされる人々の数が急増する中で、新たな紛争と長引く病気、さらには気候変動など、かつてないニーズの高まりと重なっています。これらの要因が子どもたちの栄養を奪っています。
ユニセフの警告
ユニセフの事務局長キャサリン・ラッセルは「過去数十年間、世界的に子どもの栄養不良を減らす進展を遂げてきたが、資金削減はその進歩を覆し、何百万人もの子どもの命を危険にさらす」と警告を発しました。彼女によると、資金削減が続けば2025年末までに少なくとも240万人が重度の急性栄養不良に対する治療食を得られなくなる可能性があるとのことです。
元々の資金が減る前の2020年から、急性栄養不良に苦しむ妊産婦や授乳中の女性、または10代の少女の数が150万人も増加しており、資金不足が長期的に影響を及ぼすことが懸念されています。
影響を受ける地域と支援施設
特に資金削減の影響が顕著な17カ国では、最大2,300の命を守る「安定化センター」が閉鎖の危機にさらされており、さらにユニセフが支援している約28,000カ所の外来治療センターも運営を停止する事態が予測されています。これは、栄養治療が必要な子どもたちが行き場を失うことを意味します。
5歳未満の子どもたちは特に影響を受けやすく、他の年齢層と比べて急性消耗症が深刻な水準にあることも明らかになっています。このような状況が続くと、子どもたちの健康と将来が脅かされることが懸念されます。
資金投入の必要性と呼びかけ
ユニセフは、子どもや妊産婦の栄養不良に長期的に取り組むための「児童栄養基金(CNF)」を立ち上げ、各国政府やドナーに対し、保健・栄養プログラムへの優先的な資金投入を呼びかけています。ラッセル事務局長は、「栄養状態の改善は、子どもの生存と成長の基盤であり、投資に見合った効果をもたらす」と強調しています。
ユニセフの活動は特に困難な状況に置かれた子どもたちに焦点を当てており、資金不足による影響を最小限に抑えることが目指されています。もしこの呼びかけが無視され続けると、深刻な食糧危機がさらなる悪化を招くことが予想されます。
ユニセフの役割とリソース
ユニセフは、190カ国以上で子どもたちの権利と健やかな成長を支援する国連機関です。主に募金や各国政府からの任意拠出金を資金源とし、最も厳しい状況にある子どもたちへの支援を続けています。また、日本においても日本ユニセフ協会を通じて広報や募金活動が行われています。全ての子どもたちに必要な支援が行き届くように、引き続きご支援をお願い申し上げます。