企業とNPOの連携、壁を乗り越える鍵とは
昨今、社会問題の解決に向けてNPO(非営利組織)への期待が急速に高まっています。この中で、企業との連携がますます重要になっているといえるでしょう。しかし、実際には両者の連携が進まないのが現状です。特に、信頼性という視点が企業の判断において大きな影響を与えています。
NPOの信頼性が問われる背景
2025年6月14日、関西学院大学で開催された「日本NPO学会第27回研究大会」では、パネルセッションが行われ、NPOの信頼性についての意識調査の結果が報告されました。このセッションでは、企業等支援者の視点から信頼されるNPOの要素と、第三者認証制度の有効性について議論されました。NPOに対する信頼性の高さは、企業がどのようにその組織を評価するかに大きく関わっていることが示唆されました。
企業が求める信頼要素とは
調査によると、企業は信頼できるNPOを見極める際に、いくつかのポイントを重視していることがわかりました。法令順守やリスク管理が重要視されており、特に「法令違反がないか」、「反社会的勢力との関係遮断」、「リスク管理体制の整備」などの基準が高い評価を受けています。これらを確保するために、約82.5%の企業がNPOに第三者認証があることが望ましいと考えているという結果も出ています。
第三者認証制度の重要性
「グッドギビングマーク制度」をはじめとする第三者認証が普及することで、企業は社内での決裁をスムーズに進めることができるとされています。これにより、NPOとのコミュニケーションに割く時間が増え、より良い関係構築が期待できるのです。また、NPO自体も信頼を得るための重要な手段として、この制度が機能しています。
共同での信頼構築がカギ
NPOと企業がそれぞれの経験を活かし合って協力することで、連携が進むと考えられます。このような協業が増えれば、信頼はさらに深まり、社会課題の解決に向けた動きも加速するでしょう。NPOが企業に対して信頼を得られるような努力を続ける一方で、企業もNPOとの連携を積極的に進めることが求められます。
今後の展望
社会課題がますます複雑化する中で、信頼できるNPOと企業の関係構築は今後の大きなカギとなります。JCNEは2023年から継続的にNPOの信頼性に関する調査を行っており、その結果を基にさらなる議論が進むことが期待されています。信頼性向上のための取り組みは、企業だけでなく、NPO自身の成長にもつながるはずです。そうした相互関係が、より良い社会を築くための礎になるでしょう。