ASD児に特化したサーキットトレーニング研究が示す新たな可能性とは
ASD児におけるサーキットトレーニングの効果
2025年5月、米国で開催されたAmerican College of Sports Medicine Annual Meeting(以下、ACSM)において、AKIDSラボがASD児を対象としたサーキットトレーニングの研究結果を発表しました。この研究は、サーキットトレーニングがASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちに与える効果についての重要な知見を提供しています。
研究の背景
ASD児はしばしば、攻撃的な行動、かんしゃく、いらだちなど、外に現れる行動(外在化行動)によって苦しむことがあります。これにより日常生活や社会参加が困難となり、さらに不安や抑うつなどの併存障害を抱えるケースも多く見られます。こうした状況から、ASD児の支援には新たなアプローチが求められています。
研究目的
この研究の目的は、ASD児に対する週1回、45分間のサーキットトレーニングを6か月間継続することで、外在化行動の改善が見られるかどうかを検証することでした。
研究方法
研究には、4歳から10歳までの男児28名が参加しました。ASD群と非ASD群それぞれ14名ずつを対象とし、サーキットトレーニングは子どもの特性に合わせて調整されました。トレーニング内容には平均台、ミニハードル、トランポリンなどが組み込まれ、運動の選択肢は個々の好みに基づいています。
トレーニングの効果は、保護者が回答したStrengths and Difficulties Questionnaire(SDQ)を用いて、介入前後で評価しました。
主な結果
研究の結果、ASD児における「行動上の問題」のスコアは有意に改善されました。具体的には、ASD群の外在化行動のスコアは中央値4.0から2.5に低下し、統計的に有意な変化が見られました(p = 0.012)。また、ASD群の改善幅は非ASD群に比べて顕著であり、この点でも有意な結果が得られました(-1.0 ± 1.2 vs. 0.0 ± 1.2、p = 0.017)。
改善の要因としては、個々の特性に合わせた運動の選択、成功体験を得られる運動内容、ポジティブな声掛けや身体活動による心身の調整が挙げられています。さらに、サーキットトレーニングの多様な運動は、実行機能の発達にも寄与する可能性が示唆されました。
研究の意義
この研究は、ASD児の外在化行動に対し運動が有効である可能性、個別に最適化された運動プログラムの重要性、運動と行動・実行機能を結びつける新たな支援モデルの可能性を示しています。
今後の展望
今後は、介入の頻度や内容のさらなる最適化、他の行動指標との関連の検証、長期的な追跡研究の実施を目指します。また、教育機関や医療機関との共同研究を強化し、子どもたちの発達とQOL向上に向けた取り組みを進めていく予定です。
このように、健康科学に基づく運動療育の科学的根拠を築くことで、新たな支援の形が広がることが期待されています。研究に関する詳細については、株式会社市基(いちもと)AKIDSラボにお問い合わせください。
会社情報
- 会社名
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株式会社市基
- 住所
- 愛知県名古屋市千種区星が丘元町15番17号
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0120-963-234