オンライン行政手続きの普及と住民意識
最近の行政サービスにおけるオンライン手続きの浸透が進む中、紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI)が実施した調査から、住民の行政窓口への意識が明らかになりました。この調査は、全国1,000人を対象に行われ、役所手続きの利用状況や年代ごとの感じ方が浮き彫りとなりました。
調査の概要
本調査は、オンライン調査方式で2023年5月26日に実施されました。近年、多くの自治体が住民への利便性向上を図り、行政手続きをオンライン化しています。さらに一部の自治体では職員の働き方改革の一環として、公共施設の開庁時間短縮が進められています。現代の行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中で、住民の意識や行動がどう変化しているのかを探る意義深い取り組みです。
調査結果サマリー
調査の結果、役所手続きに対する選択肢として「オンライン」を選択した人は39.7%。「対面窓口」を選んだのは37.4%で、年代別に見ると、特に高齢世代では対面を選ぶ傾向が強く、70代以上では60%に達しました。対照的に、若年層の20代ではオンラインを選ぶ人が60%を超える結果となりました。この結果からは、年代による意識の違いが明確に浮かび上がります。
また、役所の広報誌についての読者の意識も調査され、「時々読む」が26.7%、「あまり読まない」が23.2%、最も多いのが「時々読む」であったことが分かりました。特に女性、高齢者の割合が高い傾向が見られました。
働き方改革と窓口の開庁時間
最近の職員の働き方改革に伴い、公的施設の開庁時間を短縮する流れが進んでいます。この取り組みに対する住民の意見を尋ねたところ、51%が「不便だと思うが仕方ない」と回答しました。これは多くの人が利便性の向上を求める一方で、改革の必要性も理解しているという現状を示しています。
不明点の解消方法
行政サービスの利用に関して疑問点が生じた場合、どのように解消を図るのかを尋ねたところ、「対面窓口を訪問」が46.8%で最も多く、次いで「担当部署に電話」が43%、「ウェブサイトを検索」が31.4%と続きました。特に対面窓口に訪れる人は50代以上で多く、オンラインよりも対面を選ぶ傾向が明らかとなりました。さらに、問い合わせを行っても不明点が解消されなかった経験があると回答した人は23.7%に達しています。これには手続きや必要書類の複雑さや、担当者からの十分な説明がなされなかったことが影響していると考えられます。
職員への対応に関する調査
調査では、役所や公共施設で職員に対して暴言や不当な要求をしたことがあるかを聞いたところ、「ある」と回答した人は18%でした。この結果もまた、年代別に見ると減少傾向があり、若い世代が多くなるほどこのような行為が少ないことが分かりました。
政治への関心と投票意欲
調査の結果、今夏の参院選において投票したい政党についての調査も実施され、自民党が13.1%でトップ、続いて立憲共産党が8.6%、国民民主党が7.5%と続きました。特に国民民主党は、以前の調査では3位でしたが、今回の調査では立憲に抜かれ、4位となりました。その一方で、無回答の人が約45.7%を占め、政治への無関心も問題視されています。
政策提言とこれから
紀尾井町戦略研究所はこのような調査を通じて得られた知見を生かし、クライアントへの政策活動やリスクマネジメントの支援を行っています。また、社会の新たな可能性を切り開くための取り組みも続けていく所存です。このような情報が今後の行政や政治における変革の一助となることが期待されます。