建設工事の現状に危機感を抱く建築主の意識調査結果

建設工事が取り巻く環境には、今まさに再考が求められています。最近行われたBuildApp総合研究所の調査によると、建築主の約6割が「建設工事の現状」に対して危機感を持っていることが明らかになりました。この調査は、全国の建設発注会社に勤務する20代から70代の420名を対象に行われました。

調査の背景と目的

調査の背景には、急激な建設費用高騰の影響があります。これにより、都市の再開発や公共施設の工事が見合わせられたり、着工が遅れる事例が増えています。また、多くのゼネコンやサブコンが赤字プロジェクトを抱える状況にもなっています。これらの要因が、経済的な不安を生み出し、建築主の意識に強い影響を与えています。

建設工事の危機感

調査結果によれば、建築主の59％が「やや危機感がある」または「かなり危機感がある」と感じていることが分かりました。その主な要因は、労務費の増大が51.2％、物流コストの増大が45.2％、建設資機材の価格高騰が44.8％という結果でした。

このような現状を受け、建築主たちは今後の建設プロジェクトの品質を落とさずに、計画通りに実行するために、どのような対策が必要だと考えているのでしょうか。調査では、最も多い回答が「BIMの活用による設計・施工プロセスの生産性向上」で33.6％に達しました。それに続いて、発注者、設計者、施工者を交えたプロセス根本的な見直しが31.4％、働き方改革を前提とした適正な工期設定が29.3％という結果でした。

BIMの活用の必要性

BIM（Building Information Modeling）は、建設業界におけるデジタルツールの一つとして、施工プロセスを効率化し、生産性向上を促進する可能性があります。しかし、調査によると、「発注者情報要件（EIR）」について31.2％の建築主が「初めて聞いた」という回答が多く、その提示を行わないという回答も19.5％に達しています。これは、BIM活用が施工会社任せであり、建築主自身が必要な要件を提示できていない現状を示しています。

設計変更に関する考え

設計変更が行われる際のリスク分担に関しては、24.3％が「受発注者双方がリスクを負担するのであれば、更なる設計変更を行うべき」と考えています。このように、建設プロジェクトにおける設計変更は生産性低下につながる可能性が高く、その対策を講じる必要があります。設計変更に対する意識の高まりは、建設契約形態にも影響を与えています。

経済環境と工事費用の高騰により、建設プロジェクトの実行には新たな戦略とテクノロジーの導入が求められています。BIMを活用した設計・施工の最適化は、今後ますます重要性を増すことでしょう。さまざまな利害関係者の理解と、共同での取り組みが求められている時期です。今後の建設産業の活性化のためにも、このような意識改革が不可欠だと言えます。