新型RSウイルスワクチンmRESVIAが欧州委員会から承認を受け、高齢者の健康を守る
2024年8月23日、米国マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くモデルナが、RSウイルスワクチンmRESVIA®(mRNA-1345)が欧州委員会から正式に承認されたと発表しました。この新しいワクチンは、特に高齢者に発生するRSウイルスによる下気道疾患(RSV-LRTD)を予防する目的で開発されました。
この承認は、欧州医薬品庁(EMA)からの推奨に基づいており、欧州連合(EU)の27加盟国に加え、アイスランドやリヒテンシュタイン、ノルウェーでも使用されることが決定しました。モデルナのCEOステファン・バンセル氏は、これは新しい公衆衛生のマイルストーンであり、COVID-19以外の病気に対するmRNAワクチンの初めての承認であると強調しています。
RSウイルスは、特に乳幼児や高齢者にとって危険な季節性の呼吸器ウイルスで、毎年多くの成人がこのウイルスによる感染症で入院しています。具体的には、欧州では年平均で16万人が入院しており、そのほぼ全てが65歳以上の高齢者です。このような現状を背景に、mRESVIAは下気道感染症や肺炎のリスクを軽減する効果が期待されています。
mRESVIAの承認に至ったのは、22カ国で実施された国際共同第3相臨床試験「ConquerRSV」の結果に基づいています。この試験には、60歳以上の約37,000名が参加しました。試験の主要解析では、RSV-LRTDに対するワクチンの有効性(VE)が83.7%と高い数値を示しました。この結果は、National Institutes of Healthなどの権威ある雑誌に掲載され、医学界の注目を集めています。
また、追加解析では、ワクチンの持続的な有効性も確認され、接種後8.6か月までの段階でも63.3%の効果があることが報告されています。特に、重症化の症状を含む場合の有効性は、74.6%という結果が出ており、このワクチンが重度の感染症から人々を守る重要な役割を果たす可能性を示しています。
mRESVIAは、注射による副反応が少なく、具体的には、注射部位の痛みや疲労感、頭痛、筋肉痛、関節痛といった一般的なものであり、大多数の人々が問題なく接種できるとされています。このような特性は、高齢者にとっても利便性をもたらします。
これまでモデルナは、COVID-19ワクチンの成功事例を持つ企業であり、今回のmRESEVIAの開発は、その技術が他の感染症にも応用できることを証明しました。mRNA技術は、感染症の予防や治療法の新たな選択肢を提供するものであり、今後の医療に一層の貢献が期待されます。
地域の公衆衛生を守る上で、特に高齢者向けの効果的なワクチンの普及は極めて重要です。mRESVIAがその期待に応えることができれば、RSウイルスによる感染症の脅威を大きく減少させることが可能になるでしょう。今後の展開が注目されます。
会社情報
- 会社名
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Moderna, Inc.
- 住所
- 200 Technology Square CambridgeMassachusetts
- 電話番号
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617-714-6500