STマイクロエレクトロニクス、新しいゲートドライバを発表
世界的な半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクス(ST)が、3相ブラシレスモータ向けの次世代高集積ゲートドライバ「STDRIVE102H」と「STDRIVE102BH」を発表しました。これらの製品は、コンシューマーおよび産業用機器において、性能、効率、経済性の向上に寄与すると期待されています。
製品の概要
STDRIVE102Hは1シャント制御用、STDRIVE102BHは3シャント制御用で、どちらも6Vから50Vの動作電圧範囲を持ちます。2本のアナログピンで駆動電流の設定が容易に行えるのが特徴です。これにより、外部MOSFETにゲート駆動電流をプログラムすることで、パワー段の性能を最適化できます。ゲート抵抗を使わなくても、スイッチング時のスルー・レートを調整できるため、設計がシンプルになります。
さらに、低電流のスタンバイモードが搭載されており、バッテリーの長持ち効果が見込まれています。これにより、コードレス電動工具や白物家電、電動自転車、モバイル・ロボット、産業用ドライブなど多岐にわたる用途に適しています。
驚くべき機能
STDRIVE102HおよびSTDRIVE102BHには、ハイサイドMOSFETを100%のオン状態に保つチャージポンプ回路が集積されています。この機能は、PWM(パルス幅変調)の100%デューティサイクルを必要とする機器の設計を簡略化します。また、ハイサイドMOSFETおよびローサイドMOSFETを同じゲート・ソース間電圧で駆動することが可能となり、パワー段の動作のバランスをとることができます。
さらに、低ドロップアウト(LDO)レギュレータが集積されているため、ドライバのローサイド回路に12V、アナログ・フロントエンド(AFE)に3.3Vを供給しながら、外部周辺回路への電力供給も実現しています。
強化された安全性
同製品は、電気的および熱的な障害に対する多様な保護機能を備えており、低電圧ロックアウト(UVLO)やサーマルシャットダウン機能が含まれています。また、ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETのドレイン・ソース間電圧(VDS)をモニタすることで、過電流保護の冗長性が確保されています。加えて、これらの保護機能がトリガーされると、高速フォルト信号が即座に反応し、システムの安全性と信頼性を向上させます。
開発をサポートする評価ボード
評価ボード「EVLDRIVE102H」および「EVLDRIVE102BH」を活用すれば、ベクトル制御(FOC)や6ステップ・モーション制御といった各種制御方式を用いたシステムの迅速な開発が可能です。この評価ボードには、モータの逆起電力検出機能や位置センサを搭載したモータ用の入力も備えています。
また、モータ制御ソフトウェア開発キット(MCSDK)「X-CUBE-MCSDK STM32」は、モータを稼働させるために必要なツールやコードを提供し、アプリケーション開発の期間を短縮するのに貢献します。
まとめ
新しいSTDRIVE102HおよびSTDRIVE102BHは、現在すでに量産に入っており、QFNパッケージサイズ(5 x 5mmまたは6 x 6mm)で提供されています。予想価格は、1000個の購入時で約1.20ドルです。詳しくはSTのウェブサイトをご覧ください。
STマイクロエレクトロニクスは、約50,000名のスタッフを擁する総合半導体メーカーで、多くの顧客やパートナーと共に持続可能な社会を目指しています。今後の技術革新に期待が寄せられています。