2024年の「コンテンツファン消費行動調査」が発表され、エンターテイメント市場の新たな動きが見えてきました。今回の調査は、株式会社博報堂DYホールディングスなどが共同で実施したもので、全11カテゴリテーマにわたるコンテンツの消費行動を分析したものです。調査の結果、コンテンツへの支出金額は79,103円で前年よりも大幅に増加し、コロナ禍前をも上回る値を記録しました。これにより、エンタメ市場の盛り上がりが確認できました。
特に注目すべきは、アニメとK-POPの存在感です。リーチ力ランキングでは、アニメが圧倒的なシェアを誇り、『鬼滅の刃』や『SPY✕FAMILY』が1位、2位に輝きました。リーチ力とは、どれほどの生活者にコンテンツが接触できるかを示す指標で、アニメが幅広いファン層に強い影響を与えていることが明らかになりました。また、支出喚起力ランキングでは、K-POPアイドルのグループである『SEVENTEEN』や『Stray Kids』が上位にランクインしています。特にK-POPの影響力の高まりは、ファンの積極的な支出につながっていることが示されています。
調査結果によると、リアルイベント市場は特に顕著な成長を見せており、推定市場規模は1兆288億円に達しました。この成長は音楽イベントやファン向けの交流の場の増加によるもので、関連グッズの市場も好調です。デジタルの領域での消費が進んだことで、リアルな体験にも積極的にお金を使おうとする生活者が増えているのです。特に音楽フェスやコンサートといったイベントは、参加者にとって楽しみを感じさせ、関連グッズの購入も促進されています。
バラエティ・ドラマやアニメ・特撮といった市場ジャンルでも、聖地巡礼といった文化が活発化し、それによって支出が増加していることも興味深い点です。マーチャンダイジングが盛況を極め、「出かけて買う」傾向が強まっています。
アニメのランキングでは、特に企業とのタイアップ戦略が成功を収めています。食品や日用品とのコラボレーションが増え、多くの生活者がアニメに触れる機会が増加。それにより、アニメはコアなファンだけでなく、広い層の消費者にアプローチできるようになりました。また、新たにランクインした作品も見逃せません。『【推しの子】』や『薬屋のひとりごと』、そして『葬送のフリーレン』は、ファンのニーズを捉えたマーケティング活動が光ります。
K-POPグループは、リアルイベントとデジタルコンテンツを巧みに融合させ、ファンの期待に応える構造を築いています。例えば、オンラインの投票イベントやファンとの対話を通じて、エンゲージメントを高めています。これらの戦略が、支出喚起力を押し上げる要因となったと考えられます。
調査結果に見るコンテンツビジネスの動向は、今後のエンタメ業界にとって大きな意味を持つでしょう。これからもアニメや音楽、さらには新たなコンテンツが、消費者との関係を深め、業界全体を盛り上げていくことでしょう。
この調査は、全国の15歳から69歳の男女を対象に行われ、有効なサンプル数は10,000件。調査期間は2024年2月27日から3月8日までの実施でした。これを踏まえて、今後のエンタメビジネスの展開に注目していきたいと思います。