持続可能な製造プロセスの確立に向けた第一歩
第一工業製薬は、神戸大学から生まれたスタートアップ「光オンデマンドケミカル株式会社」と連携し、環境に配慮した製造プロセスを導入することを発表しました。この取り組みにより、2024年秋に新たな実証設備を導入し、環境負荷を低減した製品の製造を推進します。
新たな合成法「光オンデマンド合成法」とは
光オンデマンド合成法は、バイオメタンやクロロホルムを原料とし、光反応を活用することで化学品を小規模かつ多品種に生産できるプロセスです。この新技術は、神戸大学の津田研究室が開発したもので、効率的かつ環境に優しい製品の製造が可能です。
この方法を取り入れることで、第一工業製薬は高純度で高品質な化学物質を高収率で得ることが期待されています。
開発の背景と目的
化学品メーカーは、温室効果ガスの削減や国際的な原料調達リスクへの対応を急性しています。このような課題に取り組むため、第一工業製薬は従来の製造方法からの脱却を目指し、革新的な生産プロセスと技術の探索に力を入れています。
光オンデマンド合成法は、製造工程の簡略化によってエネルギー使用を50%以上削減できる見込みで、これにより環境負荷の軽減が期待されています。
設備導入後の展望
2024年秋には、第一工業製薬の滋賀工場において光オンデマンドケミカルとの共同企業による試作実証設備第一号が導入される予定です。この設備は、安全性と生産性を兼ね備え、段階的に拡大していく計画です。
さらに、2026年以降には、この新しい製法によって製造された中間原料を利用し、界面活性剤や糖誘導体、セルロース誘導体、ウレタン材料、コーティング材料、電子情報材料など、多岐にわたる製品に展開していく構想も描かれています。また、特注の化学品の生産と販売も考慮されており、低環境負荷で高品質な製品を少量多品種で提供できる体制を目指します。
まとめ
第一工業製薬は、技術開発を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを誓います。これらの取り組みは、環境に優しい製品の開発を加速させ、未来の製造業に新たな価値を提供すると期待されています。環境に対する配慮がますます求められる中、この新たなパートナーシップが業界に与える影響に注目が集まるでしょう。