2024年ガソリンスタンドの倒産件数が184件に、経営環境は厳しさを増す
2024年のガソリンスタンドの倒産及び休廃業件数が184件に達し、これは3年連続の増加であり、コロナ禍前の水準に迫りつつあります。最近の調査によると、景気判断を示す指標である景気DIは前月比4.0ポイントの大幅な減少を記録し、ガソリンスタンドの経営環境はより厳しくなっていることが明らかとなりました。
ガソリンスタンドを取り巻く厳しい現状
ガソリンスタンドの経営が厳しくなっている背景には、いくつかの要因が存在します。まず、燃費の良いガソリン車の普及や電気自動車(EV)の増加、さらには人口減少や若者の車離れなどによる需要の減少が挙げられます。
加えて、地下貯蔵タンクの改修・更新義務が新たに課されるなどの規制も影響し、多くの業者が廃業を選択している状況です。実際、資源エネルギー庁の調べによると、1995年には60,421カ所あったガソリンスタンドの数は、2019年には半分以下の30,070カ所にまで減少しました。2024年にはさらに27,414カ所にまで数が減少すると予想されています。
倒産件数の推移と影響
コロナ禍の影響で、2021年には124件と倒産件数が大幅に減少しましたが、現在は再び増加傾向にあります。それぞれの業者が直面する課題として、仕入れ価格の高騰、人件費の上昇、後継者不足などがあり、これによって2024年の倒産件数は184件にのぼりました。
また、2025年1月の景気DIでは33.1と、コロナ禍以降での最大の下落幅を記録しました。これは、消費者の節約志向が強まり、ガソリンの購入を控える傾向が強まりつつあることを意味しています。
ガソリン価格と消費者への影響
レギュラーガソリンの販売価格は、2020年のコロナ禍で需給が落ち込んだ際は1リットル124.8円まで下がりました。しかし、2021年以降は再上昇傾向にあり、2022年からは政府によるガソリン補助金が導入され、一時的に170円前後で安定したものの、2023年9月には183.5円に達しています。ガソリン補助金が縮小することで、2025年に向けて更なる価格高騰が見込まれ、消費者の家計や物流業界への圧迫も懸念されています。
未来への展望
2025年は、ガソリン補助金の縮小が見込まれ、経営環境がますます厳しくなると考えられています。各ガソリンスタンドは、ただの燃料供給拠点からサービスの提供拠点へと脱却するための努力が求められるでしょう。
業界の専門家からは、「カーボンニュートラルの流れの中で、過疎化や若者の車離れに伴う需要の減少が続く可能性がある」と警告されています。企業は変化に対応し、消費者のニーズに応えていくための戦略を見直す必要があるでしょう。
今後の動向にも注目が必要です。