ARと都市空間の融合！MESONと博報堂が新たな実験を実施

ARと都市空間の新たな可能性を探る実証実験

株式会社MESON（東京都渋谷区）と博報堂ＤＹホールディングス（東京都港区）が、都市空間におけるAR体験に関する実証実験を実施しました。この実験は、2019年からの共同研究の延長線上にあり、徒歩移動中のAR情報提示に焦点を当てています。実験の中で、ARコンテンツを通じた視覚的情報の提示が参加者の都市体験に与える影響を探ることが目的とされています。

実証実験の背景

近年、AppleやMetaなどのテクノロジー企業が空間コンピューティングの領域に進出し、AR（拡張現実）の技術は急速に進化しています。これにより、物理空間とデジタル情報が融合し、ユーザーの情報接触スタイルにも大きな変化が生じつつあります。特にARグラスの進展は、徒歩移動中の情報提供に新たな機会をもたらすと期待されています。実験では、ARナビゲーションとAR情報提供の相互作用について、どのように生活者に役立つかを分析することが目指されています。

実験の設計

実証実験は恵比寿エリアで行われ、最新のApple Vision Proを使用しました。この実験では、若い参加者を対象に、観光しながらAR技術を体験してもらいました。ARナビゲーションのデザインや情報提供方法が、ユーザーの能動的な情報接触行動にどのように影響するかが主な焦点です。特に、ARナビゲーションの存在が、ARコンテンツへの接触率に与える影響が検証されています。

具体的な仮説

1. ARナビゲーションがARコンテンツへの接触行動に影響
- ARナビゲーションのデザインがユーザーの行動に与える影響についての検証。

2. ARコンテンツの情報量やデザイン
- ARコンテンツのデザインがユーザーの反応に与える影響を評価。

このような視点から、様々なARナビゲーション方式とコンテンツ表現を組み合わせ、ユーザー体験に対する影響をUXの観点から評価しました。

実験結果の概要

実証実験の結果、ARナビゲーションとARコンテンツは、互いに補完し合う重要な要素であることが判明しました。特に、ARナビゲーションがあることで、ユーザーのARコンテンツへの接触率が増加することが確認されました。

ARナビゲーションの効果

- ライン型ナビゲーション：最も多くの接触が見られるデザイン。
- アバター型ナビゲーション：親しみやすさがありながら、周囲への注意が減少する傾向。

ARコンテンツの評価

- アバター型コンテンツ：調和のとれたデザインが注目を集めやすい。
- テキスト型コンテンツ：手に取りにくいものの、読者を引き寄せる傾向が確認されました。

特許の取得と今後の展開

本実験の成果を基に、博報堂ＤＹホールディングスは「ARグラスを通じた誘導デザイン」に関する技術の特許を取得しました。また、今後はAR広告の新たなビジネスモデルを超え、社会全体に貢献する安全かつ快適な情報環境デザインの探索を続けていく意向です。

空間コンピューティングによる新たな都市体験の設計が進む中、私たちの生活や移動の仕方が大きく変わることが期待されています。