八王子市健康アプリ『てくポ』の成功事例
東京都八王子市が推進する健康アプリ『てくポ』は、提供元の株式会社ベスプラと共に展開し、60歳以上の高齢者ユーザーを13,140名も獲得したことが話題を呼んでいます。このアプリは、ただの健康管理ツールではなく、地域経済の活性化にも寄与する先進的な取り組みであることが評価されています。
策定背景と導入の経緯
八王子市は、2021年10月に『てくポ』の実証実験を開始しました。市民の健康促進を「無理なく・楽しく・いつまでも」という理念のもとサポートし、元々あった紙手帳でのボランティアポイント制度をデジタル化しました。この移行により、持続可能性を維持しつつ効率の良いプログラムを実現しました。
『てくポ』が仕組む健康ポイント制度
『てくポ』は、高齢者が日常生活で「歩く」ことや「食事管理」、「脳トレ」、「ボランティア参加」といった活動を行うことに対してポイントが付与されるシステムです。貯めたポイントは市内の協力店で利用できるほか、PayPayポイントとしても使えるため、参加者にとってのメリットが明確です。ポイントを得る過程がゲーム感覚で楽しめるよう工夫されており、高齢者の社会参加を促進しています。
累計歩数と経済的効果
『てくポ』の取り組みの成果は数値としても顕著です。これまでの累計歩数は約261億歩に達し、この歩数を金額に換算すると医療費抑制効果は約16億円に相当します。このような具体的な数字が市民の健康維持に資することを示しています。
利用者の声と効果
利用者からは「運動が習慣化した」「家族との会話が増えた」「自然と歩くようになった」という声が集まっています。特に、従来の健康施策に参加しにくかった男性高齢者の参加が増えており、健康無関心層へのリーチも成功しています。
担当者の工夫と管理効率
少数の職員で1.3万人以上のユーザーを管理できる仕組みを目指し、紙媒体からデジタルへの移行が成果を上げています。アプリによる自動処理により、業務効率も向上し、職員の負担を軽減しました。
日本健康会議での受賞
この取り組みが評価され、『てくポ』は日本健康会議2024で最優秀賞に選ばれるという栄誉に浴しました。高齢者の健康づくりと地域経済の活性化を同時に推進している点が特に注目され、全国的に模範となるモデルケースとして期待されています。
今後の展望
八王子市は、さらなる発展を遂げるために、脳トレゲームや期間限定ミッションの追加を予定しています。また、民間企業と連携した新たな「ウェルネスプラットフォーム」の構築も進め、デジタルに不慣れな高齢者も配慮する取り組みを強化する考えです。これにより、全ての市民が気軽に利用できるプラットフォームとなることを目指しています。
八王子市の『てくポ』は、今後さらに進化し続け、高齢者の健康維持をサポートする存在であり続けるでしょう。