博報堂が行った新しい健康プログラム「健診戦」の成果
健康が重要視される現代、企業はその従業員の健康管理に取り組む必要があります。株式会社博報堂は、社会と健康の関係を研究するために、京都大学と帝京大学と連携し、健康に対するより効果的なアプローチを模索し続けています。その結果として誕生したのが、ユニークな健康プログラム「健診戦」です。
「健診戦」とは?
「健診戦」は、従業員が楽しみながら健康診断に参加できるよう工夫されたプログラムです。具体的には、インセンティブやゲームの要素を取り入れることで、より多くの従業員の参加を促進しようとしています。この取り組みの目的は、健康への関心が低い層にもアプローチし、健康的な生活を促進することです。
昨今、肥満は生活習慣病の大きなリスク要因として注目されていますが、その背景には健康づくりへの関心の格差が存在しています。特に、健康への興味が薄い人々は、保健プログラムから遠ざかってしまうことが多いのです。「健診戦」は、こうした課題を解決するために、行動科学を応用した新しいアプローチを提供しています。
研究の成果
このプログラムの効果は、最近の研究によって実証されました。博報堂DYグループの「健診戦」に参加した従業員410名と非参加者390名を対象にした調査では、参加者全体でBMIの有意な減少が確認されました。全体での減少は-0.22 kg/m²でしたが、特に健康への関心が低いグループでは-0.34 kg/m²、中間の関心を持つグループでは-0.30 kg/m²という計測結果が示されています。
このデータは、行動科学を活用したプログラムが、従来のアプローチでは効果が見込めなかった層の健康行動にどれほどインパクトを与えるのかを示す重要な証拠となっています。つまり、「健診戦」は、健康に対する関心を持たない従業員の行動を変更するきっかけになり得るのです。
今後の取り組み
博報堂は、今後も「健診戦」を通じてさらに多くの企業が健康づくりに取り組むことをサポートする考えです。企業における健康経営の重要性はますます高まっており、単に健康を促進するのみならず、幅広い層に健康の意識を浸透させることが求められています。
「人は誰しも健康でありたい」と願うものですが、そのためのアプローチには限界がありました。「健診戦」は、その限界を打破するための新しい試みといえるでしょう。健康への意識を高めることが、個々の生活の質を向上させ、さらには企業全体の生産性向上にも寄与するのです。
このような意義を持つ「健診戦」は、今後、もっと多くの企業に広がっていくことが期待されています。これにより、個人の健康だけでなく、社会全体の健康も向上していくことでしょう。
記事の要約
プログラムを通じて得られた研究成果は、行動科学に基づいて、特に健康に無関心な層をターゲットとすることの重要性を示しています。「健診戦」は、従業員が楽しく健康を管理できるように設計されており、引き続きこの取り組みが広がることを願っています。