シュナイダーエレクトリックの新しい液体冷却ポートフォリオ
シュナイダーエレクトリックは、AIおよびHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を利用した新世代の液体冷却ソリューションを発表しました。これは、2025年のMotivair買収以来初めて披露されるもので、業界の期待を集めています。本ポートフォリオは、データセンターの効率化を図るために設計されており、液体冷却と空冷が統合されています。
新しい液体冷却ソリューションの特徴
本ソリューションには、冷却水分配ユニット(CDU)、ChilledDoor®リアドア型空調機、HDU™、Dynamic®コールドプレート、チラーおよびテクノロジー冷却システム(TCS)が含まれ、特に電力消費やGPU負荷の高い高密度データセンターのニーズに合わせています。このような冷却技術は、AIデータセンターの運用効率を大幅に向上させるものです。
特に注目すべきは、直接液体冷却(DLC)技術が最大3,000倍の熱除去効率を持つことです。この冷却方法は、データセンターの電力使用量の最大40%を占める冷却にかかるコストを大幅に削減する可能性があります。
業界の変革を促進
シュナイダーエレクトリックの冷却事業担当シニアバイスプレジデントのAndrew Bradnerは、「AI時代のデータセンターでは液体冷却が戦略的に重要である」と語ります。Motivairとの協業により、液体冷却技術の先進性は一層高まり、製造とサプライチェーンの能力も強化されました。これにより、グローバルなニーズにも応えられる体制が整っています。
また、Motivair社のCEO Richard Whitmoreも、シュナイダーとの協業が大きな強みとなるとし、NVIDIAなどの主要GPUメーカーとともに開発した冷却ソリューションが、データセンターのROIを改善すると述べています。
冷却ポートフォリオの主要製品
1.
CDU(冷却水分配ユニット):次世代プロセッサとのシームレスな統合が可能で、105kWから2.5MWまでの冷却が行えます。
2.
ChilledDoor®リアドア型空調機:最大75kWのラックを охлажする高効率で柔軟性のある空冷装置です。
3.
HDU™(L2A、Liquid to AirのCDU):わずか600mm幅で100kW超の冷却効果を提供し、狭いスペースでも適用できるユニークな機能を持っています。
4.
Dynamic®コールドプレート:AIラックの正確な温度管理を実現し、エネルギー効率を向上させます。
5.
チラーとテクノロジー冷却システム(TCS):最大20%のパフォーマンス向上を果たし、環境への影響を軽減します。
製造とサポート体制
シュナイダーエレクトリックは、バッファローに新工場を開設し、イタリアやインドでも生産能力を強化しています。これにより、製品供給のリードタイムを短縮し、顧客のニーズに応じた迅速なサービスを可能にしています。また、600名以上のサービスエンジニアが世界中でトレーニングを受け、確かなサポートを提供しています。
結論
シュナイダーエレクトリックの新しい液体冷却ソリューションは、多様化するデータセンターのニーズに応える画期的な技術です。AI駆動の未来に向けて必需品とも言えるこの技術は、効率化だけでなく、持続可能な運用を実現するための重要なステップとして注目されています。業界全体に変革をもたらすこのポートフォリオが、今後どのように進化していくのか、興味が尽きません。