フェイクドキュメンタリーの時代――テレビの愉快犯たち
戸部田誠の新著『フェイクドキュメンタリーの時代――テレビの愉快犯たち』が、来る2024年10月1日に小学館から出版される。この本では、近年大いに注目を集める「フェイクドキュメンタリー」の根源や、その人気の理由を探る。
フェイクドキュメンタリーとは?
フェイクドキュメンタリーは、一見すると事実を基にしたドキュメンタリーのように見せかけながらも、実際にはフィクションである内容を指す。例えば、視聴者を驚かせるために事実を捻じ曲げ、または創作を行うことによって、疑似のリアリティを演出するジャンルだ。テレビ番組やYouTube企画、書籍、イベントなど、最近では様々な媒体にこのスタイルが広がっている。
人気の背景
なぜこのようなスタイルが広く支持されているのでしょうか。戸部田氏によると、このブームの引き金となったのは2003年に放送されたテレビ番組『放送禁止』だ。ここでは、視聴者の予想を裏切るような内容が展開され、テレビの形式や内容への疑問を呼び起こした。
本書では、これ以降のフェイクドキュメンタリー番組についても振り返り、各番組の特色や進化を解説している。著者の豊富なインタビューや資料に基づいた分析は、視聴者がどのようにこのジャンルを受け入れ、楽しんでいるかを深く考察している。
番組年表と特別対談
さらに、巻末には「フェイクドキュメンタリー(的)テレビ番組年表」が収録されており、2003年から2024年までの流れが一目でわかる。著名な番組が年表に掲載され、その時期にどのような影響を与えたのかも詳しく説明されている。
また、本書には『放送禁止』でディレクターを務めた長江俊和氏と『さよならテレビ』の土方宏史氏による特別対談も収録されており、「ドキュメンタリーとフェイクドキュメンタリーの境界」について語られている。この対談は、視聴者としても、制作者としても興味深い見地を提供してくれるだろう。
テレビの未来を考える
地方においても地上波では大食いやクイズ番組が溢れ、娯楽としての多様性が求められる中、「フェイクドキュメンタリー」は視聴者の新たな受容体験を提供している。戸部田氏自身も、「つまらない番組」が多い現状に警鐘を鳴らしつつ、このジャンルが重要なカウンターカルチャーであると捉えている。
本書を通じて、視聴者としての私たちがどのようにテレビと向き合い、理解していくべきかを考えさせられる。フェイクドキュメンタリーの魅力を再発見するための一冊として、是非手に取ってみてほしい。
著者について
戸部田誠、ペンネームは「てれびのスキマ」。1978年生まれのライターであり、テレビ番組に関する豊富な知識を持つ。これまでに『1989年のテレビっ子』、『タモリ学』など、多数の著作がある。
書誌情報
- - タイトル: フェイクドキュメンタリーの時代――テレビの愉快犯たち
- - 著者: 戸部田誠(てれびのスキマ)
- - 発行元: 小学館
- - 定価: 1,320円(税込)
- - 発売日: 2024年10月1日
- - ページ数: 352ページ
- - URL: 小学館書籍詳細
本書を通して、現代のテレビにおけるフェイクドキュメンタリーの重要性とその影響を深く知ることができるだろう。