障害者雇用の新たなマネジメント手法が明らかに
近年、障害者雇用の定着や活躍を妨げる要因について、多くの研究が行われていますが、株式会社キズキが行った調査により、企業のマネジメントがその鍵であることが特定されました。この調査、キズキ総研の初の試みとして実施され、多くの企業が直面する「配慮だけでは離職を防げない」という課題に光を当てました。
調査の背景
キズキ総研は2025年10月、障害者雇用の実態に関する調査を実施しました。調査には、企業側の回答を含む17件と、実際に働いている就労者67件が含まれています。この結果から、これまで一般的に語られていた「配慮不足」が離職の主因ではないという新たな実態が浮かび上がりました。
調査結果の概要
離職の回避可能性
調査によると、離職経験者の94.1%が企業の対応次第で働き続けられたと回答しました。この結果は、障害者の離職は防げるものであり、企業のマネジメントがその基本であることを示しています。
組織スキルの重要性
調査で判明した内容から、企業が組織スキルを高めることで定着に直結する要因がいくつか浮かび上がりました。具体的には、職場の心理的安全性や同僚の理解、職務スキルの維持が非常に重要です。
満足度と評価
また、仕事の満足度が高い人は、公平な評価を求めている傾向があるのに対し、満足度が低い人は特別扱いを求める傾向が見受けられました。このことから、企業は透明性のある評価制度を導入し、就労者に公平感を与えることが定着率を高める鍵であるといえるでしょう。
定着と活躍を実現するための5つの組織スキル
キズキ総研は、調査結果を基に「定着と活躍を両立させるための5つの組織スキル」を特定しました。これらは
1.
ジョブマッチング設計力
役割のミスマッチを減らし、適切な人材配置の力。
2.
挑戦設計力
仕事における成長と成功体験を創出する能力。
3.
公平評価力
特別扱いせず透明性のある評価基準を設定。
4.
関係構築力
相談できる相手を確保し、人間関係の質を向上。
5.
データ読解力
感情ではなく事実に基づく判断ができる力。
これらのスキルを企業が実装することで、障害者雇用のモデルを大きく変えることができると考えられます。
まとめ
調査結果から明らかになったのは、障害者雇用における離職の原因は企業の組織的な構造にあり、単に「優しさ」を提供するだけでは不十分であるということです。この新たな知見が、日本の障害者雇用の未来を改善する一助になればと思います。企業は今こそ、マネジメントの仕組みを見直し、それに基づいた取り組みを実践することが求められています。
調査概要
- - 調査名: 障害者就労に関する実態アンケート
- - 調査時期: 2025年10月
- - 調査対象: 障害者雇用を実施している企業(n=16件)、精神・発達障害を持つ就労者・求職者(n=67件)
- - 調査主体: キズキ総研(株式会社キズキ)
会社概要
- - 社名: 株式会社キズキ
- - 代表者: 代表取締役 安田祐輔
- - 所在地: 東京都新宿区6-28-7新宿EAST COURT 2F
- - 設立: 2015年7月(創業2011年)
- - 事業内容: 不登校・中退者向け個別指導塾、うつ・発達障害の方の就労移行支援など
- - URL: 株式会社キズキ