線虫の塩味変化
2025-03-11 01:33:18

線虫の塩味の好みを逆転させる神経回路の解明に成功!

画期的な研究成果を発表


岡山大学と室蘭工業大学の科学者たちが、線虫(C. elegans)の塩味の好みに関する新たなメカニズムを解明しました。この研究は、2025年2月19日に国際科学ジャーナル「elife」に掲載され、注目を集めています。研究チームは、環境中の塩濃度が線虫の塩味の好みに影響を与えることを証明しましたが、その詳細な仕組みも明らかにされました。

塩味の好みと飼育環境


線虫は、飼育中の環境塩濃度に応じて塩味の好みを変化させます。具体的には、高塩濃度で育った線虫は塩味を好むのに対し、低塩濃度で育った場合には塩味を嫌う傾向があります。このように、環境に依存した塩味の好みの逆転現象は、脳内の神経回路における特定の変化に起因しています。研究者たちは、この変化をシミュレーション実験を通じて実証しました。

シナプス可塑性の新たな発見


研究では、塩を検知する感覚ニューロンとその下流に位置する介在ニューロンとのシナプス結合特性に変化が見られました。この観察は、Excelの長期増強や長期抑制といった伝統的なシナプス可塑性の理論に新たな視点を提供します。具体的には、シナプス結合が興奮性から抑制性に反転することで、塩嗜好性が逆転することが確認されました。これはヒトやマウスなどで観測されていない新しいタイプのシナプス可塑性です。

研究者のコメント


岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の弘中誠勝大学院生は、「この研究は、種を超えて観察される文脈に依存した走性を理解するための重要な基盤を提供します」と述べています。また、室蘭工業大学の墨智成教授も、「この発見が学習や記憶のメカニズムを解明する手助けになることを期待しています」と語りました。

最後に


この研究成果は、今後の生物学的研究や幅広い分野への応用が期待されており、記憶に基づく行動パターンの解明に貢献すると考えられます。線虫の独自の適応メカニズムが、将来的な科学の進展にどのように寄与するかについて、ますます注目が集まりそうです。


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