中銀カプセルA908保存プロジェクトが和歌山でスタート
2023年8月、和歌山県立近代美術館にて「中銀カプセルA908保存プロジェクト(MOMAW A908)」が始動しました。このプロジェクトは、黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービルの保存と再生を目指している取り組みです。2022年に解体された中銀カプセルタワービルのうち、140カプセルの中から23カプセルが取り外され、修復されています。そして、A908カプセルが美術館に寄託されることで、新たな展示が実現しました。
カプセルの展示位置は、美術館のアプローチプラザ。観光客やアートファンの目に留まるこの展示は、ただのアートの展示にとどまらず、関連イベントの開催によって公の関心をさらに喚起しています。特に、「コスプレ声ちゃんのカプセルタワービルデイズ展」という一風変わったイベントが注目を集め、来訪者数を増加させています。
文化の拠点としての美術館
和歌山県立近代美術館は、解体されたカプセルタワービルの文化的価値を再認識させる重要な拠点。寄託されたA908カプセルは2026年3月まで展示され、その後は地元企業や全国のファンと連携してカプセルの恒久的な保存を目指します。このプロジェクトでは新しいロゴの制作や、ロゴを使った商品の販売も行っており、地域の創造力を活かした活動に期待が寄せられています。
サポートの輪が拡大
「中銀カプセルA908保存プロジェクト」という名称の下、多くの企業が協力しています。和歌山ニット専門店の「tunagu」や、印刷業界の「中和印刷紙器株式会社」など、地元企業の力で企画が進んでいます。また、関連商品であるアートポスターやオリジナルニットTシャツが販売されることで、募金のほか、地域活性化にも繋がっています。特に、グラフィックデザイナー渡辺和雄氏によるデザインのアートポスターは、多くの人々に愛されています。
道の駅「わかやま紀州館」など複数の地域施設でも応援グッズが取り扱われる今回のプロジェクト。これによりさらに広がる支援の輪が、和歌山の文化振興に貢献することが期待されています。
トークイベントとさらなる展開
プロジェクトの一環として、9月には代官山蔦屋書店でトークイベントも開催されます。和歌山県立近代美術館の学芸課長やプロジェクト代表が登壇し、中銀カプセルタワービルの魅力やその再生に関する貴重な話が聞ける貴重な機会です。
和歌山の土地で育まれるアートや建築への理解が一層深まることでしょう。これは、地域の人々の興味を誘い、観光にも影響を与える可能性を秘めています。今後も様々なアクションを通じて、プロジェクトの活動は継続し、さらなる盛況を期待させる動きとなっています。
おわりに
中銀カプセルA908保存プロジェクトは、単なるアートの保存に留まらない、地域と人がつながる取り組みです。将来に向けた文化の継承と、新しい楽しみ方の提供を通じて、多くの人々に影響を与えることでしょう。和歌山のこのプロジェクトが、さらなる可能性を拓くことを願っています。