日機装の快挙、航空機部品『カスケード』出荷80万個達成
日機装株式会社は、主力製品である航空機部品『カスケード』の累計出荷数が80万個を超えたと発表しました。この特製部品は、1984年の初出荷以来、多くの航空機に採用され続けており、現在では世界の民間航空機市場で90%以上のシェアを占めています。
カスケードとは
カスケードは、飛行機が滑走路に着陸した際に、エンジンの逆噴射によって気流を制御する重要な部品です。気流が適切にエンジン外へ排出されない場合、機体がバランスを崩したり、滑走路にある物をエンジンに吸い込む危険があります。日機装が1983年に開発したCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のカスケードは、従来の金属製に比べて軽量で、燃料消費の削減とCO2排出量の減少に寄与しています。
カスケードは、ジェットエンジンに十数個装着され、機種や位置によって異なる形状が求められます。そこで、日機装はこれまでに200種類以上の形状を製品化してきました。
製造技術の革新
日機装は、カスケードの製造においてオートクレーブ成形法を採用しています。この手法により、複雑な構造の部品を一体成形で製造できることが特長です。強い部品を作るためには、プリプレグの繊維の向きが極めて重要であり、高い技術と豊富なノウハウが求められます。日機装はこの点で高い信頼性を築いており、それが80万個の出荷数を可能にした要因の一つです。
80万個達成の背景
カスケードの出荷数が80万個に達するまでの日機装の歴史は、非常に興味深いものがあります。1983年、日機装は世界初のCFRP製カスケードの開発に成功し、1984年には初出荷を果たしました。軽量で高強度の特性が認められ、特に大型機の需要が高まり、1998年には出荷10万個を突破しました。
2000年代に入ると、航空機の需要が多様化し、日机装のCFRP製カスケードは順調に採用数を増やしていきました。2010年代後半からは、輸送のトレンドが大型機から中・小型機へとシフトし、その結果としてカスケードのニーズも高まりました。新型コロナウイルスの影響で一時的に出荷が減少したものの、現在では小型機向けの需要が先行して回復しています。
今後の展望
民間航空機の需要は、今後20年間にわたって拡大し続けると予想されています。ボーイング社によると、2043年までに新造機の需要は約4万4,000機に達する見込みです。新興国での需要や小型機の需要も堅調であることから、日機装はさらなる成長に向けた準備を進めています。40年以上の経験と技術力を活かし、今後も市場のニーズに応えていくことでしょう。
日機装株式会社の情報
- - 会社名: 日機装株式会社
- - 本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号 恵比寿ガーデンプレイスタワー22階
- - 会社設立: 1953年12月26日
- - 代表取締役: 加藤 孝一
- - 事業内容: 産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品の製造・販売
- - 公式ウェブサイト: 日機装株式会社