管理職が抱える現状と悩み
近年、日本の労働市場は急速に変化しており、企業の管理職にも新たな役割が求められています。
ALL DIFFERENT株式会社と
ラーニングイノベーション総合研究所が実施した「管理職意識調査」によると、531名の管理職のうち60.2%が、職務の7割以上をプレーヤー業務に費やしていると回答しました。このような実態が示すのは、プレーヤーとしての業務が重要視される一方で、管理職としての役割や責任感がいかに複雑化しているかです。
調査から見える現代の悩み
調査の結果、最大の悩みは「部下の育成」であることが明らかとなりました。51.0%がこの課題に苦しんでおり、他にも「部門の成果」や「方針・戦略の浸透」といった悩みが続きます。これは特に、1~3年目の新任管理職だけでなく、4年以上のベテラン管理職にも共通している点です。
ステージごとの悩みの変遷
新任管理職は「部下育成」と同様に「マネジメント知識の不足」も大きな悩みとなっていますが、ベテラン管理職になるにつれ、主な悩みは周囲との「コミュニケーション」にシフトします。また、幹部候補層では、戦略の「浸透」や「実行」がしばしば問題視されます。
役割認識の変化
各ステージごとに管理職が自己認識する役割に違いが見られます。新任管理職は主に「方針の伝達」を重要視する一方、幹部候補は「事業計画や部門戦略の構築」に対して意識が高いことが確認されました。これは、業務内容のタイプにより、求められるスキルや知識が異なることを示唆しています。
マネジメントとプレーヤーのバランス
最も興味深いのは、管理職の業務内容の実態です。新任管理職の52.9%、ベテラン管理職の60.2%が「プレーヤー業務寄り」であるのに対し、幹部候補では逆に51.0%が「マネジメント業務寄り」となっています。このことから、役職が上がるにつれ、マネジメント業務に対する意識が強まることが分かります。
課題の明確化と今後の展望
「プレーヤー業務寄り」の管理職は、部下の育成やコミュニケーションに関して悩みを抱える一方、「マネジメント業務寄り」の管理職は方針や戦略を浸透させることに苦慮しています。このような課題を解決するためには、企業として役割認識を見直し、教育・研修制度を強化する必要があります。また、部下育成への取り組みが重要視されるような評価制度の設計も、企業運営にとって不可欠です。
結論
管理職がプレーヤー業務から脱却し、十分なマネジメント業務に専念できるような環境を整えることが、組織全体のパフォーマンス向上には欠かせないといえるでしょう。個人の力だけではなく、チームや組織全体で抱える課題に目を向けることが必要です。今後は、CEOから新任職員に至るまでの広範な評価基準を設け、全員参加での組織開発に努めるべきです。