新たな時代のコンタクトセンターへ
2023年5月30日、NTTマーケティングアクトProCXと、そのグループ会社、USEN NETWORKS、HEROZが共同で立ち上げた "次世代型コンタクトセンター" プロジェクト。このプロジェクトは、生成AIを活用し、業務の効率化やマネジメントの高度化を目指した革新的な試みです。
背景と課題
コンタクトセンター業界は、少子高齢化や労働力不足の煽りで、優れたオペレーターの確保・育成が難しくなっています。そのため、顧客満足度を維持しながら業務を効率化することが求められているのです。この現状に対応するため、プロジェクトは「生産性向上」、「マネジメントの高度化」、「チャネル最適化」の三つのテーマでスタートしました。
各社の役割
- - NTTマーケティングアクトProCXは、顧客との対話履歴やドキュメントの分析を通じて、より効率的なナレッジの構築を担当。ChatGPTを利用した新しいシステムの運用支援を行っています。
- - USEN NETWORKSは、自身の運営するカスタマーセンターで生成AIを活用し、新たなユースケースを提案・実施しています。
- - HEROZは、Azure OpenAI Serviceを利用し、企業に最適なAIサービスの構築をサポート。特に、カスタマイズ不要のAIサービス「HEROZ ASK」を提供しています。
業務改善の成果
このプロジェクトでは、特にオペレーターの業務支援に向けて二つの機能を開発しました。
1.
応対支援機能:
- オペレーターが顧客の問い合わせに迅速に回答できるよう、社内資料をAIに学習させることで、正確な回答を導き出す支援を行いました。
- この機能の初期構築が2023年11月に完了し、FAQ正答率は当初の15%から80%にまで上昇しました。オペレーターの平均応対時間も約14%改善されました。
2.
応対要約機能:
- お客様との対話内容を自動的に音声からテキスト化し、重要なポイントを抽出する機能です。これにより、オペレーターの後処理時間も約74%削減されました。
成功の要因
このプロジェクトの成功には、以下の三つのポイントが重要となりました。
- - ナレッジデータベースの整備: AIが利用できる形式でデータを提供し、正しい情報をインプットすることで、回答精度を向上させました。
- - 生成内容の評価: オペレーターによる自己評価とフィードバックを通じて、AIの回答精度を高める仕組みを導入しました。
- - 回答領域の拡充: 利用者のニーズを分析し、必要なデータを新たに追加することで、AIの回答精度を80%まで引き上げることに成功しました。
今後の展望
プロジェクトに関与した全ての企業は、引き続き生産性向上に努め、新たな機能の追加や運用の調整を重ねて、真にオペレーターを支援するAIの開発に邁進していく所存です。これにより、より一層 "次世代型コンタクトセンター"の実現に貢献できると信じています。
代表者のコメント
USEN NETWORKSの山田副社長は、「この取り組みが成果に結びついたことは大きな一歩で、引き続き業務改善に努める」と述べています。また、HEROZの林CEOも、「生成AIと人間の協働により、新しいサービスを提供していく」と語りました。
NTTマーケティングアクトProCXの長徳社長も、共同作業による成果に感謝し、さらなる検証を重ねていく意向を示しています。
今後もAIを駆使した業務改善を進め、顧客にとって最も必要とされるサービスを提供していくことが期待されます。