職場のインシビリティとハラスメント
最近、株式会社コーナーが実施した調査が、職場におけるインシビリティ(無礼な言動)の実態を浮き彫りにしました。この調査は、実際にインシビリティを経験した20代から50代の男女を対象に行われ、特に若手とシニア層の認識の違いを明らかにしています。
インシビリティとは?
そもそも、インシビリティとは、相互の尊重に反するが明確な意図がない低強度の逸脱行為を指します。具体例としては、言葉を遮ったり、感謝の気持ちを示さなかったりすることが挙げられます。これらはしばしば相談や注意を受けにくいものであり、そのために職場の環境が悪化するリスクが高まるのです。
調査結果の概要
調査結果によれば、インシビリティを経験した際の行動は「流す・距離を置く」が主流で、注意を促したり相談したりする行動は非常に少ないことがわかりました。その背景には、関係悪化への懸念や、「言ってもどうにもならない」という諦めが影響しています。特に、20代は「感謝の欠如」や「高圧的な言動」を、多くのケースとして挙げており、50代は「機会の不平等」や「意思決定からの排除」を経験することが多い傾向にあります。これにより、世代ごとの「感じやすさ」にも差が出てきています。
組織内のギャップと対応策
また、行動の発生要因についても認識が異なります。20代から30代の女性は「年齢や世代差」を、逆に40代から50代の男性は「役職や権限差」を主な要因として捉えています。この認識の違いが、組織全体としてのコンセンサスを形成するのを難しくしています。
職場において、ハラスメントとインシビリティを明確に区別することが求められます。本調査では、半数以上がインシビリティを「ハラスメントが発生しうる」と考えている一方、明確なハラスメントとして認識しているのは22%にとどまることが示されました。これによって、組織としての対応が必要な環境をだんだんと見逃しやすくなっています。
改善のためのポイント
この調査の結果から、改善に向けた具体的な施策が示唆されています。組織のニーズは、個々の改善にとどまるのではなく、「ルールや基準の明確化」、「役割の整理」、「コミュニケーション基盤の整備」など、より大局的な環境の整備にシフトするべきです。
特に、忙しさや権限差といった組織内の要因がインシビリティを引き起こすため、個人の態度ばかりを問題視するのは間違いです。改善を進めることは、組織文化の向上や心理的安全性を確保するためにも不可欠です。
結論
株式会社コーナー代表の門馬貴裕氏は、インシビリティの問題は単に個の意識の問題ではなく、組織的な問題であると強調しています。この認識をもとに、企業はハラスメントへの具体的な対策を検討し、働きやすい職場文化の醸成を目指すべきです。調査が示したインシビリティの実態を基に、ぜひ貴社の人事施策にご活用いただければと思います。