NISAの認知と利用状況の変化
三井住友信託銀行が運営する「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」では、2024年に始まった新しいNISA制度について、全国の18歳から69歳までの1万人を対象に行ったアンケート結果を分析しました。以下は、その主な内容です。
1. NISA口座数の増加傾向
2022年11月、岸田内閣が発表した「資産所得倍増プラン」のもと、NISA制度の拡充が進められています。このプランでは、NISA口座数を2022年の1,700万口座から、5年間で3,400万口座に倍増させる目標が定められました。2024年1月の新NISA開始から、約2,125万口座から約2,560万口座へと増加しており、約436万口座(約17%)の成長を見せています。
2. NISAの認知度
調査では、NISAについて知っていると答えた人の割合は約60%に達しており、資産形成制度としての認知度は非常に高い結果となりました。しかし、年代ごとに見てみると、約3割の人が「この中にはひとつもない」と回答しており、認知度にはまだ格差が存在することがわかります。
3. NISAの利用状況
2024年1月の調査と比較する形で、NISA制度の認知度は全体で14.3%、また利用状況は7.0%の伸びを示しました。特に60代の層での認知と利用の増加が見られ、30代の利用者は依然としてトップの割合を維持しています。
4. 利用意向の変化
NISAを利用していない人の中でも、「利用意向」について調査した結果、利用者と意向者を合わせるとその総和は34.1%に達します。一方で「利用しない・おそらく利用しない」と回答した人が36.7%に達しており、NISA利用に対してより明確な意識を持つ人が増えていることが示されています。
5. 金融教育がカギ
調査では、金融教育の有無とNISA利用者や意向者との関連性が確認されました。金融教育を受けた経験があると、NISAを利用する割合も高くなる傾向が顕著に見受けられます。また、「ライフプランを立てている」と回答した人は、NISAを活用する可能性が高くなることも明らかとなりました。
結論
2024年のNISA元年を経て、国民のNISAに関する意識や行動が変化していることが明らかになりました。NISAに対する関心は、金融リテラシーの向上や将来のライフプランの策定といった要因によって高まりつつあります。今後の資産形成において、NISAはますます重要な役割を果たしていくことでしょう。詳細な調査結果は、資産のミライ研究所のウェブサイトで公開されています。
また、本調査は「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」として、全国の18~69歳を対象に行われました。全体のサンプルサイズは11,435件で、調査結果の正確性と信頼性を確保しています。