茅野市で始まる縄文の知恵の旅
長野県茅野市にある尖石縄文考古館で、2025年5月22日から「縄文工事大作戦!〜“藤森式”竪穴住居『古過庵』ができるまで〜」という展覧会が開催されます。設計監修を担当しているのは、茅野市出身の著名な建築家、藤森照信氏。この展示では、2024年に行われた住居建築のワークショップを通じて、参加者たちがどのように縄文時代の知恵を活かし、実際に住居を建設したのかが紹介されます。
このワークショップには、合計218人が参加し、材料採取や道具作りなど、参加者同士の協力のもと、「古過庵」という住居が完成しました。展示を通じて、訪れる方々にも、この工事の過程や参加者の汗と笑顔を感じていただきたいと思います。
縄文の知恵を現在に活かす
今の時代、物価の高騰やエネルギー問題など、不安定な状況が続いています。それに対抗するためには、「あるもので工夫して生きる」縄文人の精神があらためて求められています。「古過庵」の建設現場では、予期しないトラブルや制約がありましたが、参加者たちは知恵を絞り合い、柔軟に対応していきました。その様子は、いかなる困難にも立ち向かう縄文人の姿を彷彿とさせます。
展示の中では、4つのパネルを通じて参加者たちの取り組みや、この住居が完成するまでの道のりが詳しく紹介されます。
参加者が実感する「本物の縄文」
今回の展示は、単なる記録以上のものです。茅野市の大自然の中で、参加者自身が「本物の縄文」に触れ、自身の手で住居を構築するという深い体験が待っています。藤森氏の設計に基づいて、国宝「縄文のビーナス」が出土した棚畑遺跡の住居跡を元にした「古過庵」。白樺の樹皮や藤の蔓といった自然の素材を贅沢に使用し、道具も参加者自らで製作したものを用いました。
完成した住居は、地域の素材と知恵が融合した「ちの旅」の象徴とも言える作品です。参加者は、縄文人の感覚にたっぷりと近づくことができ、展示では実際に使用した道具に触れることもできます。
未来に繋がる縄文体験
「古過庵」は作ることが目的ではなく、ここから新たな縄文体験の物語が始まります。現在、参加者を募集中のプログラムには、「NO JOMON, NO LIFE.(4月開始)」や、「月一縄文人(6月開始)」などがあります。これらは、長期間にわたり縄文を探求するプログラムや春夏秋冬のワークショップを通じて、参加者が縄文時代の生活を実感できる内容です。
■ 今後の予定
- 縄文ガイドウォーク:考古館内や復元住居を巡るフィールドワーク
- 縄文流 竪穴茶会:参加者同士の交流を楽しむ茶会
- 縄文ブッシュクラフト:サバイバル体験と縄文生活を学ぶ
こうした体験を通じて、参加者は縄文人の自然と共生する暮らしを実感し、身心共に成長することが期待されています。弥生時代を過ぎてもなお、縄文の知恵は生活の中で活かすことができ、次世代に受け継いでいく価値があります。
ちの旅の使命
一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構による「ちの旅」は、ただの通過点ではなく、地域の人々とのふれあいを大切にし、自然と文化を五感で楽しむ旅を提供します。この場所に根ざした縄文時代の暮らしを感じ、100年後の未来までつながる豊かな文化を次世代に受け継いでいくことを願っています。
最後に
ぜひ、茅野市の尖石縄文考古館での「縄文工事大作戦!」に足を運び、縄文時代の知恵と感性を体験し、未来へつなぐ旅に参加してみてください。