電動カートの影響
2025-06-25 14:22:24

電動カートの運行停止が高齢者の介護リスクに与える影響とは

概要



千葉大学予防医学センターを中心とした研究チームが、高齢者の介護予防における電動カートの重要性を指摘しています。調査によると、電動カートを定期的に利用していた高齢者は、その運行が停止した後に介護リスクが増加したことが示されました。この発見は、超高齢社会における地域の移動支援策の必要性を裏付けるものです。

研究の背景



日本は超高齢社会に突入しています。高齢者の移動手段が限られることにより、活動量の減少や社会的孤立が進行し、結果的に要介護状態に至ることのリスクが高まっています。公共交通機関の減少に伴い、国土交通省は電動カートの導入を進めており、これは高齢者の生活の質を向上させるための一手段となっています。

研究の目的



本研究の目的は、大阪府河内長野市において行われた電動カートの利用が高齢者に与える影響を検証することです。具体的には、電動カートの運行が停止された後の要支援・要介護リスクがどう変化するのかを追跡調査しました。

実施内容



研究は2022年7月から2023年7月までの約1年間の期間で実施されました。対象者は河内長野市在住の高齢者78名で、彼らの要支援・要介護リスクを評価するために、運行前、運行中・停止直後、運行停止後の3回にわたり調査を行いました。

調査結果



この研究において、電動カートを週に1回以上利用していた高齢者たちは、運行停止4ヶ月後に要支援・要介護リスク評価尺度点数が悪化したことが確認されました。具体的には、リスク評価点数は運行前が18.6点、運行中・停止直後も18.6点であったのに対し、運行停止後には19.1点に上昇しました。

特に、電動カートを頻繁に使用していたグループ(週1回以上)は、運行停止後にリスク点数が21.8点となり、有意な悪化が見られました。この結果は、電動カートの運行が高齢者の介護予防に寄与していることを示唆しています。

結論



今回の研究結果は、地域における移動支援としての電動カートの運行が高齢者の介護を予防する上で、持続的に重要な役割を果たす可能性があることを示しています。今後は、電動カートを含む移動支援策の推進が求められています。高齢者が安心して暮らせる社会を実現するために、地域における取り組みがさらに進むことが期待されています。

用語解説


  • - 自然実験デザイン:人為的な介入を行わず、自然発生的に観察される現象を利用して因果関係を推測する手法。
  • - 縦断研究:同一対象を長期間にわたり繰り返し調査することで、変化のプロセスを明らかにする研究手法。

参考文献


  • - 本研究は、JSPS科研費及びヤマハ発動機の支援によって実施されました。また、関連論文が日本公衆衛生雑誌に早期公開され、さらなる理解へとつながることが期待されています。


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会社情報

会社名
国立大学法人千葉大学
住所
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 
電話番号
043-251-1111

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