液状封止材に関する特許、AI向け半導体パッケージに貢献
株式会社レゾナック(以下、レゾナック)は、2024年6月19日に特許庁から、液状封止材に関連する特許(特許第7343977号)の有効性が確認されたと発表しました。この特許は、近年注目が集まっているAI(人工知能)向けの先端半導体パッケージの性能を向上させるためのものです。
特許の背景と技術の重要性
AI技術が進化する中で、高速な演算処理や大容量データの処理速度が求められています。このニーズに応えるためには、機能が異なるチップを混載したり、複数のチップを三次元に積み重ねる先端半導体パッケージが必要です。このようなパッケージは、電子信号のやり取りをより効率的に行うための技術ですが、チップと基板の間には隙間が生じます。
この隙間に使用されるのが液状封止材です。液状封止材は、温度や湿度、外からの力から半導体パッケージを保護する役割を果たしており、その性能がパッケージ全体の信頼性に直結します。
液状封止材の要求性能
現代の先端半導体パッケージは、大型化の流れにあり、それに伴い液状封止材には高い性能が求められます。具体的には、熱サイクルへの高信頼性、低粘度、長時間使用可能な作業性などが挙げられます。レゾナックはこれに応じて、独自の樹脂合成技術や配合技術を用い、従来製品を上回る性能を持つ液状封止材を開発しました。
特許取得までの道のり
2023年にはこの液状封止材に関する発明について特許を取得し、2024年2月に第三者から異議の申立てを受けましたが、特許庁による審理の結果、特許の維持が決定されました。特許の適用範囲は日本国内にとどまらず、アメリカ、中国、韓国、台湾でも権利化が進んでおり、グローバル市場での重要性が高まっています。
今後の展望と社会貢献
レゾナックは、自社の技術を活用し、今後も新たな製品を市場に投入する予定です。同社の社長、髙橋秀仁氏は、「化学の力で社会を変える」というビジョンのもと、次世代技術の開発に励んでいます。
今後販売が開始される新製品は、AI向け先端半導体パッケージの性能向上に寄与すると期待され、特に製造業を中心とした様々な分野での採用が進むと見られています。
まとめ
液状封止材に関する特許の維持が決定されたことで、レゾナックはさらに先端技術の開発と商業化へと舵を切ることができます。今後も新しい可能性を追求し続ける同社の今後に注目です。