相続工学の成果が注目を集める
株式会社ルリアン(京都府京都市)は、相続手続きに関連する最新研究を米国および日本国内の主要学会で発表しました。この研究は「相続工学」として体系化されており、「孤独死」「相続負担」「空き家」といった現代の社会問題を深く掘り下げています。
米国「ARNOVA学会」での発表
ルリアンは米国インディアナ州で開催されるARNOVA学会において、京都大学と共同で「孤独死と資産の関係」をテーマにした論文を発表しました。約13,000件のデータを解析し、資産の有無が孤独死リスクに影響を与えないことを明らかにしました。
論文の概要
- - 論文名: Untapped Philanthropic Potential: Insights from the Assets Left Behind by Solitary Decedents in Japan
- - 著者: 石原圭一(京都大学)、渡邉文隆(京都大学)、藤巻米隆(ルリアン)ほか
- - 発表日: 2025年11月22日
研究結果の概要
この研究の結果、孤独死のリスクを高めているのは経済的要因ではなく、「配偶者の不在」や「家族との物理的距離」の欠如であることが示されました。資産が豊富であっても孤立するリスクは変わらず、社会との接点を持つことが孤独死を防ぐ有力な手段であることが示唆されました。
国内「応用地域学会」での発表
続いて、日本国内の応用地域学会では、ルリアンの研究員が兄弟姉妹相続と空き家リスクに関する2本の論文を発表しました。
論文①の概要
- - タイトル: 相続人の構成と手続きの関係に潜む社会問題
- - 著者: 小西弘樹(ルリアン)など
- - 発表日: 2025年11月29日
明らかになった事実
兄弟姉妹が相続人になるケースでは、手続きにかかる負担が通常の1.8倍になることが判明しました。特に、戸籍収集にかかる期間が長くなる傾向があり、この結果は第3順位相続の課題を浮き彫りにしています。
論文②の概要
- - タイトル: 相続を通じた家族間居住状況の変化
- - 著者: 宇佐美朋香(ルリアン)など
- - 発表日: 2025年11月29日
明らかになった事実
相続人が県外に居住する場合、実家が空き家になるリスクは73%に達しました。実家に同居している場合はこのリスクが6%に低下するため、親子間の居住距離が重要な要素とされています。
産学連携による相続工学の発展
ルリアンは、これらの研究成果を活用し、相続に関する政策提言や実務改善を目指しています。今後も産学連携を深め、データをもとにした「相続工学」の進展を図ります。これは、資産のスムーズな承継と同時に社会的課題の解決にも寄与するものと考えています。
相続という大きな経済活動において、定量的な分析を行い、より良い社会の実現を目指すルリアンの今後の取り組みに期待が寄せられています。