無印良品が挑む住宅の快適性向上とIoT実証実験の成果

無印良品が新たな住宅評価基準を探求

無印良品は、株式会社MUJI HOUSEを通じて「無印良品のリノベーション」を展開している。この度、同社は株式会社リクルートが運営する『SUUMOリサーチセンター』と連携し、IoTを活用した住宅室内環境評価の実証実験に参加した。この取り組みは暮らす人々の生活の質を向上させることを目指しており、その成果が注目されている。

取り組みの背景

『SUUMOリサーチセンター』では、室内の暖かさや静けさを可視化し、生活者の潜在的なニーズに応えることを目的とした実証実験を行っている。具体的には、IoTセンサーを設置し、住まいの温度や騒音レベルを測定、これらのデータをわかりやすく可視化することで、住まいの選択肢として提案していく。2024年4月からは「省エネ性能ラベル」の表示も開始されるため、こうしたデータが住まい探しの判断材料となることが期待されている。

無印良品のリノベーションは、2015年からマンションのフルリノベーション「MUJI INFILL 0」を展開し、日本の住環境における温熱環境の問題を解決し快適な住まいを提供している。特に2024年1月から開始する「MUJI INFILL 0 ZEH水準リノベーション」では、断熱性能をさらに強化しており、個々の快適性向上と環境問題の両立を目指している。

実証実験の詳細と成果

無印良品のMUJI INFILL 0リノベーション済みの住戸5戸を対象に実施された実証実験。専門的な助言を受けながら測定環境が整えられた。実験の結果、以下のようなデータが得られた。

温度測定結果

屋外気温が5℃以下に低下する中、室内は暖房なしでも16℃以上を維持した。夜間の温度変化も最大0.2℃程度であり、保温性が高い室内が確認された。

騒音測定結果

屋外の平均騒音レベルは35dB、最大57dBに対し、室内では平均33dB、最大36dBと、屋外環境基準を超えた回数は0で、室内が静かな環境であることが分かった。これにより、快適な生活空間の確保が可視化された。

今後の展望

無印良品のリノベーションは、ユーザーの温熱性能に対する感覚を数値で示すことで、住まい選びの新たな指標を提供。また、どのようにすれば高品質な住環境を維持できるかに関する情報も可視化されていく。2024年からの新制度に合わせ、これらの取り組みがより多くの住環境改善に寄与することが期待されている。

無印良品のリノベーション構想

無印良品は、リノベーションの対象を新耐震基準を満たすマンションや団地に制限して、フルスケルトンの施工を行う。これにより、高性能な断熱材やインナーサッシを取り入れた住まいを実現してきた。また、最新の「MUJI INFILL 0 ZEH水準リノベーション」には、断熱材の厚みを約1.8倍にし、最高水準の断熱性能を誇る。

インナーサッシにはLow-eガラスが使用され、これも高い断熱性能のポイントである。各リノベーション住戸で計算された結果を基に、温熱性能を可視化しており、住まいごとの特性に応じた改善が可能となっている。

光熱費削減の効果も期待されており、リノベーション前の物件に比べて約38％のコストダウンが見込まれる。これが実現すれば、10年後には約118万円の節約につながるという試算が出ている。