日本銀行第100回生活意識調査から見る国民の景況感の変化と物価認識

日本銀行第100回生活意識調査から見る国民の景況感の変化と物価認識



日本銀行が2024年12月に行った「生活意識に関するアンケート調査」の結果が発表されました。この調査は、全国の20歳以上の個人を対象に行われ、2,099人からの有効な回答を得ました。今回の調査では、国民の景況感や物価に関する認識について深く掘り下げ、その結果がどのように推移しているのかを探ります。

調査概要


実施期間は2024年11月7日から12月3日まで。調査方法は郵送またはインターネットの選択式で、層化二段無作為抽出法に基づいて標本が選ばれました。得られたデータから、景況感や物価の実感についての変化が見えてきました。

景況感の変化


調査では、現在の景況感を良くなった、変わらない、悪くなったの三つのカテゴリーで尋ねられました。その結果、良くなったと回答した人はわずか3.9%と過去最低の水準であり、悪くなったという回答は59.8%に達しました。この数値は、前回の調査からも悪化しており、国民の景況感は依然として厳しい状況にあることが示されています。

さらに、1年後の景況感について尋ねたところ、良くなると答えた人は5.7%であり、悪くなるとした人は42.6%にのぼり、D.I.(良くなると悪くなるの差)は-36.9という結果となりました。

暮らし向きについて


暮らし向きについても調査が行われ、ゆとりが出てきたと感じている人は4.7%でしたが、ゆとりがなくなってきたと感じる人は57.1%に達しました。この結果からも、経済的な余裕を感じていない人が圧倒的であることが分かります。

物価に対する実感


物価に対する実感についても重要な結果が得られています。調査によれば、「かなり上がった」と感じている人は69.2%に達し、物価が上昇しているという実感は非常に強いことが伺えます。一方で、物価が下がったと感じている人は、ほとんどいない現状です。

物価の未来予測についても尋ねられ、来年には物価が上がると考えている人が31.1%、「少し上がる」との回答も54.6%に達しました。物価の上昇が続くとの見方が一般的であり、国民は今後の経済に不安を抱えている様子がわかります。

日本銀行の「物価安定目標」との関連


日本銀行は「物価の安定」を目指すとしていますが、その認知度は低下傾向にあります。「物価安定目標」を知っていると答えた人は21.3%。また、物価安定に対する信頼度も調査され、信頼していると答えた人は13.1%に過ぎず、その他の信頼感も含めて信頼していないとの回答が増加しています。

まとめ


第100回生活意識調査からは、国民の景況感や物価に関する認識は非常に厳しい状況にあることが明らかになりました。物価の上昇に対する実感や、景況感の悪化は国民生活に深刻な影響を及ぼしていると言えるでしょう。今後の経済政策や日本銀行の取り組みに注目が集まります。

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