ニュース回避傾向が広がる中、世代差や理由が明らかに
近年、情報化社会の進展に伴い、ニュースをあえて避ける傾向が顕著になっています。2025年に実施された『スマートニュース・メディア価値観全国調査2025(SMPP調査2025)』によれば、日本全国でニュースを避ける人の割合は全体の18%に達し、この現象が特に30代の世代に多く見られることが明らかになりました。
調査の概要
この調査は、スマートニュース株式会社が実施したもので、約2,100人の有効回答をもとにしています。調査期間は2025年1月から3月までで、全国の18歳から79歳の有権者を対象に郵送で行われました。結果、全体の18%が「頻繁に」または「時々」ニュースを避けると答えたのです。
世代別の回避傾向
世代ごとの結果を見ると、特に目を引くのは30代の回避率で、22%が該当しました。一方、60代の回避率はわずか13%に留まり、ニュース回避の傾向が年代によって大きく異なることが確認されました。これは、特に若い世代のニュースとの向き合い方が異なることを示唆しています。
ニュース回避の理由
では、なぜ人々はニュースを避けるのでしょうか。調査によれば、最多の理由は「気持ちが暗くなる・気分が悪くなる」というものが61%に上りました。次に多かったのは「関心の持てないニュースまで知りたくない」(30%)で、その後に続くのはセンセーショナルな見出しの多さや事件、犯罪報道が多いことに対する不満でした。
避けたいニュースのジャンル
特に避けたいニュースのジャンルとしては、芸能ニュース(有名人のゴシップを含む)が最も多く、22%となりました。次いで、戦争や紛争に関する報道が19%、感動や怒りを引き起こすニュースが18%でした。他方、ローカルな情報や科学文化系のニュースは、回避したいという反応はわずか数%に過ぎませんでした。
これらのデータから、特に感情に影響を与える一部のニュースジャンルが避けられる傾向にあることが浮き彫りになっています。興味深いのは、回避傾向の強い層とそうでない層では、避けたいジャンルが異なるということです。頻繁にニュースを避ける人々の多くは、特に芸能ニュースに対して否定的な感情を持っているようです。
世界の動向と日本の特性
オックスフォード大学による調査でも、国際的な視点から見ればニュースを避ける人の割合が多くなってきていることが示されています。日本での回避傾向が他国と比べて比較的穏やかであることもまた、興味深い現象です。日本国内では、30代が回避傾向を強く示してる一方で、若年層においてはニュースの接触経験が薄いことも見過ごせません。
メディアの未来への示唆
この調査結果は、ニュースメディアが今後どのようにユーザーと向き合っていくべきかを考える上で重要な示唆を与えます。特に30代の若者層への情報提供の方法や、心理的な負担を軽減する報道スタイルが求められるかもしれません。ニュースが持つべき役割や価値を見直し、新しいアプローチが必要とされる時代が到来しているのです。
このように、スマートニュースによる調査は、ニュース回避の現状とその背景を明らかにする一助となっており、メディアの未来に向けた方向性を示唆しています。
今後の展望
今後、スマートニュースはニュース回避傾向を持つ人々のメディア接触状況を更に分析し、どのようにより良い情報提供ができるかを模索していくことでしょう。それぞれの世代の特性を理解し、適切な情報提供のあり方を探ることがメディアの課題となります。